あの人を見るだけで、心臓は有り得なく鼓動するし、顔に血液が回る。
名前をノートに書いてみようとしても、手は震え、文字には見えない。
颯爽と旧制服の学ランをたなびかせ、校門で制服チェックする所は真っ直ぐに見る視線と、委員会の仕事をする人として、とても格好良い。


意外にきっちり制服を着る姿も、自分の信じる道だけを突き進む素直さも。
全部全部、魅力的。


これを恋と言わず何と言うんだろう?


今日はバレンタイン。
タイミングを見計らったかのような身嗜み検査の日。
私の鞄の中にも校則違反のお菓子が一つ。


チョコレート。















不運にも今日の登校身嗜み検査に彼はいなかった。
タイミングが悪かったのかもしれない。
前に違反者がいてお説教中だったかもしれない。


でも、彼とはクラスも違って。
接点なんて同じ中学校に通っている同級生っていうだけで。
風紀を乱す度胸がない私には、お近付きになるのも不可能で。


義理としても渡せない。
本命として渡しても良い解答があるはずもない。
絶対絶命のピンチ。





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