深いサファイアのように輝く夜空。
日本と見える星座は違うけれど、星が瞬いているのに変わりはない。


車の中から星空を流し見しながら、何処か遠くへ連れられていく私は、何となく、そこだけ切り取って考えるとドラマのヒロインみたいだ。


──現実はそんなにロマンチックではないのだけれど。


私の横の運転席には我等が風紀財団の暴君・雲雀恭弥。
何を考えているのかさっぱり検討の付かない彼が、本日ボンゴレの本拠地であるイタリアのアジトに帰宅するなり「出掛けるから支度して」と宣ったので、慌てて準備すれば。


何故か地中海を横目に深夜のドライブに借り出された。
しかも二人きりで。
しかも恭弥さんの運転で。


見た目や性格からは想像も付かない見事なハンドル捌き。
下手にスピードを出したりする嫌らしさや、心臓に痛いような運転はせずに。
静かに繊細に、けれど決して遅くはないそれは、まさに彼の技術の賜物だろう。


運転する横顔をチラリと覗けば、整った顔が前だけを見ている。
そうしていれば格好良い青年なのに、この雲雀恭弥という男はその性格だけで全てを台無しにしている。
と、思う。





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