「哲。葉月に“今日は何があっても僕の前に姿を見せるな”と伝えておいて」


「はい、分かりました」















それは、僕なりの優しさだった。


葉月は中学時代から、ゆっくりゆっくり時間をかけて手に入れた、大切な女の子。
この手の届く範囲に近付けるまで、どれだけ粘ったか。
どれだけ我慢して努力したか、君はきっと知らないだろう。


今日の仕事はわりと楽しかった。
草食動物とはいえ、少しは楽しめた相手。
普段から弱くても今日くらい咬み殺し甲斐がある相手なら、ボンゴレとやらの仕事を引き受ける気にもなるのだけれど。
現実はそうでもない。


だからと言ってはなんだが、必然的に僕の感情は高ぶっていた。
殺り合いのせいか、血臭のせいか。
ともかく必要以上にアドレナリンが分泌されているのが、嫌でも感じる。


このまま葉月に会えば──結果は一目瞭然。


そういう事をヤる仲とはいえ、確実に手に入れたわけではない相手とヤるとなると。
彼女が逃げ出しかねない。
かといって、他の女とそういう行為をするのはヘドが出るくらい気持ちが悪い。
想像だけで嘔吐出来そうだ。





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