「……うわーん!終わらない!」
「貴方が溜めた書類でしょう!」
執務室から聞こえる絶叫に、ああ今年も始まって終わるのだ、と実感する。
クダリボスの一年間溜めた膨大な山のような書類が、今年も年を越すまでに終わるのか。
ギアステーションにとっては重大問題なのだ。
ただでさえ、年末年始は普段仕事で通えない廃人トレーナー達がこぞってバトルトレインに入り浸る時期なのに。
そのバトルトレインのラスボスであるサブウェイマスターがデスクワークのせいで欠席など、あってはいけない。
というか有り得ない。
かといって書類を滞納なんてことになったら、部下に示しがつかない、というか運営に影響しまくりだ。
「何時にも増して溜まってますね」
そんな山に追い撃ちをかけるような今日の分の追加。
ドサリというテーブルの上に乗るのは高さ十センチは下らないそれだ。
「なにそれ、ぼく見えない」
「残念ながら現実ですよ。ぼくとわたくしの」
「……わたくしの分もある、ということですか」
半分はノボリボスのですからね。
にっこりと笑うと、ノボリボスはその制帽を下げて顔を隠した。