(接点なし、今日も安全運行中続編)





ドサッと人が倒れる音が、スーパーシングルトレインのホームに響いた。
慌てて駆け寄ると、その男性トレーナーは顔が真っ青で、指先が震えている。
息も荒く、声が出ないところを見ると、どうやら列車に酔ったらしい。


近くに対応出来る駅員を探すが、残念ながら見当たらなかった。
当然、パートの私がインカムを付けているはずもなく。
「すみません、私、残ります」と列車に乗車していく仲間に声をかけて、その場に座り込んだ。


「大丈夫ですか?ビニール袋、ありますからね」


掃除道具の入ったポシェットから、ビニール袋とタオル、ペットボトルの水を取り出す。
こんな状況に出くわすなど、想定もしていなかったので、たいした物を所持していないことが悔やまれた。


──私、サブウェイのスタッフなのに。


何時も通りならば、もう直ぐボスが降りてくるはずだ。
ボスからならば他の駅員に連絡を取って、救護室に案内してくれる。
そう信じて「大丈夫です」と、トレーナーの背中を摩り続けた。


実際にバトルをしない私には、スーパーシングルトレインどころか、このバトルサブウェイ内でどのようなバトルが繰り広げられているのかさえ、知りはしない。
バトル後の汚れた車内を見ることはあるが、それは結果に過ぎないのだ。




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