今日もまた悔しそうな顔をしたトレーナーが下りていく。
移動手段用の地下鉄ではなく、バトル専門のこちらのホームは相変わらず静かで、賑わいを見せることなど年に数回有るか無いか。
特にこのスーパーシングルトレインなど、廃人トレーナーしか乗車しないため、通常のシングルトレインよりも更に静かさを増している。


私達など目にも入れず、トレーナーがホームを去っていくと、ガタリと音が鳴って、車両最後尾からボスが下りてきた。
このバトルサブウェイのサブウェイマスターであり、シングルバトルを担当するボス、ノボリが。


サブウェイマスター専用のジャケットに、相変わらず無愛想な顔を乗せて、磨かれた黒の革靴を音も立てずに歩く男。
自他ともに厳しいボス。


「お疲れ様です」


彼が言葉を発するより早く、視界に足元しか入らないくらい頭を下げて挨拶をする。
その顔を拝めるほどの立場ではない私達“清掃員”をどう見ているのかなど全く知らないが、少なくとも嫌悪はされていないらしい。


ボスが「お疲れ様でございます」と、単調な声で言いながら去って行くことを確認すると。
私達はスーパーシングルトレインに急いで乗車した。




←|TOP


×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -