(クダリ編の続き)
「ハヅキ、ケーキをありがとうございました」
突如後ろからかけられた声に、びくりと肩を震わせてギリギリと振り向くと。
お礼を言われているはずなのに、無表情でこちらを見るノボリボスと、顔面蒼白で震える私(予想)が向かい合うという奇妙な状況が出来上がっていた。
基本的に、まだ新人に含まれる私にノボリボスが直接話し掛けてくるということは、大方説教、残りはお小言、もしくは仕事である。
自他共に厳し過ぎる上司から声をかけられた、ということはたとえその始めの一言が謝礼であろうと、次に待っているのは、
「ところで突然ケーキとは、何か理由があるのですか?」
──あれ?
また細かすぎる問題の指摘かと思えば、まさかの質問。
口が“すみませんでした”という言葉の体制を整えていたため、上手く言葉が出ずに、ぱくぱくする。
それに見兼ねたのか後ろからくつくつ笑いながらクラウドさんが私の肩に手を掛けてきた。
ちょ、おもっ、
「ちゃうちゃう!ハヅキは連れに頼まれて、」
「ぎゃあああ!クラウドさん、待った、ダメ!」