そいつは気付いたら教室にいた。
というより、クラスメイトだったらしい。
──知らなかった。
「それはちょっと酷いね」
「む」
基本的にバスケットが出来れば、クラスにどんなヤツがいようがどうでも良い。
興味ねーし。
殆ど、寝てるし。
そんな中でオレが珍しく覚えたクラスメイトは、コイツ。
桜木葉月だ。
毎日飽きもせずバスケ部の練習を見に来ていたから、覚えた。
五月蝿くないし、楽しそうに見ているヤツ。
あのどあほうを毎日見に来ている事も知っている。
聞けばアイツの妹らしい。
──似てねー。
「流川君」
「む?」
「あの、あんまり見られると、その……恥ずかしいです」
ずっと見ていたらしい。
葉月は顔を赤くしていた。
風邪引いてたっけ、コイツ。
ともかく、珍しく覚えたクラスメイトだからか、葉月は何かとオレの世話をやいていた。
移動教室の時に起こされたり、屋上まで呼びに来たり。
あと、部活の時間に起こしてくれたり。
──部活の時は感謝している。
「あとは、今日の一言だけど。何かある?」