「好きです、付き合ってください」
変な発言をしている奴がいる。
「やっぱり名前は入れた方がイイと思いやすぜ?」
「成る程。じゃあもう一回。“土方十四郎さん、好きです、付き合ってください”」
その変な発言に荷担しているのはドS星の皇子──もとい総悟だ。
「ありきたりだねィ。もっとこう、オリジナリティを出したらイイんじゃねェか?」
「オリジナリティ?うーん……“土方十四郎さん、私の味噌汁を毎日飲んでくれませんか?”」
「そりゃプロポーズでさァ」
「難しいなぁ」と溜息をついて、総悟の意見を真っ向から信じて疑わないのは、最近やたらと俺に構ってくる結城葉月という名の女だ。
「こういうのはどうでィ?」
繁華街で男に絡まれていたのを助けたのが運のツキ。
それから毎日屯所にやって来ては総悟と話している。
「どんなの?」
無意味な内容を、俺の部屋の前で。
「土方コノヤロー、私のために寝ずに働け──」
「そんなに仕置きされてェか!!」
バァンと大きな音を立てて襖を開ければ、キョトンとした可愛いらしい顔の結城と、黒い笑みをした総悟が、こちらを見ていた。