カボチャのランタンに火を点して……。
「そんなもの、する価値もない」
ユーリははっきりきっぱりこの件について否定を示した。
「なんで?せっかくのイベントなのに」
ハヅキは赤い頬をプクッと膨らませ、自身の提案を否定した吸血鬼を睨みつけた。
リビングとは言い難いくらい広い広間の卓上には、玄関先に飾ってあるジャック・オ・ランタンの中身を使ったパンプキンケーキが早くも飾られている。
本日のディナーのデザート用に。
そのリビングにあるソファーに優雅に腰掛け、読書に没頭する城の主は、唯一の同居者であり人間のハヅキの睨みなど、何とも思わず、読書に戻ろうとした。
「納得出来ない!去年は此処で盛大にパーティーをしたでしょ!?」
「去年したからといって、今年するとは限らない」
あくまでも提案を否定する吸血鬼に苛立ち、ハヅキは矛先を狼男と透明人間に変える。
「アッシュもスマイルもハロウィンパーティーしたいでしょ?」
「べっつにー。ぼく、今日はギャンZのアニメがあるから忙しいしネ」