「有利君。プロポーズした時の気持ちはどうだった?」


「うーん、母親のことを悪く言われてキレてたかな」


「成る程ね」


「でも、何で?」


「参考に聞いただけ」















──一体何の参考!?


と、有利は驚いた。
当然といえば当然で、有利は眞魔国の“しきたり”を知らずにキレただけなのだから。
その結果、まさかの男同士の婚約成立で、超絶我が儘プー(最近は著しく成長中の男前プー)を伴侶としてしまったのだが。


だから参考になるはずもないが、事態は思わぬ方向に動いている。


何故なら今、葉月はヨザックの前に仁王立ちになって胸倉を掴んでいるのだから。


「あのー、姫さん?これは一体?」


「五月蝿い!身に覚えが無いとは言わせないからね!!」


──いやいや、身に覚えなんてあるわけないだろ!
と、笑顔で冷や汗をかいているヨザックの内心は、そう突っ込んでいるに違いない。


とんでもない修羅場に立ち会う事になってしまった可哀相な何時もの執務室メンバーは、息を飲んで無言で成り行きを見詰めている。
何せ今回は相手が悪かった。



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