異世界に降る雪も、白い。
眞魔国にも冬という季節があり雪が降るらしい。
改めて窓から見える中庭に積もった雪を見て、少し感動した。
日本でも見られる景色が、何故か異世界に来ると物珍しく感じるのは何故だろう。
早朝。
自身の世話係を買って出た、上腕二頭筋が異常に発達しているお姉さんが部屋に起こしに来る前に、さっさと身支度を整えてしまうと、眠気からか、ふぁ、と、可愛らしく欠伸をして寒い部屋から廊下に出た。
廊下は部屋よりも寒く静まり返っている。
流石に早く起きすぎたかと後悔して部屋に戻ろうとしたが、ふいに聞こえた足音に、廊下の奥を見詰めた。
誰の足音なのか直ぐに理解出来たが。
「あれ、葉月さん?おはよう!」
「おはよう、有利君。朝から精が出るね」
なんてことはない、我等が双黒の魔王陛下であった。
「何で廊下でロードワーク?」
傍迷惑なジョギングのせいで起きたわけではないが、そうでなくとも多分起きることになったであろう。
何せ、彼と、彼の後ろに微笑みながら立つ次男坊の足音は思った以上に響くのだから。