prologue01



 私はだれがどう見たって完璧な人間だった。
 料理をさせれば和洋中問わず天下一品の物を作り、近所のおばさまたちの舌を巻かせていた。
 部活の剣道では、長年の経験がある先輩たちを差し置いて、高校から始めた私が、インターハイ第二位という好成績を勝ち取った。
 初夏に行われた学力テストでは全国順位二桁という数字を叩きだし、得意科目でもある英語にいたっては、リスニングと筆記試験、共に九割以上というかなりの上出来な結果。もちろん、他の科目でも大差ないもの。
 父はサラリーマンに母親は専業主婦。決して裕福とは言えず、けれど貧しいとも言えず、中の中ぐらいの生活で、私は幸せだった。優しい両親に恵まれて、理解力のある良き友人にも出会えた。
 笑顔の絶えない、何不自由のない生活は、
 「ごめんください、県警の者ですが」
 もうすぐ期末試験が始まるから本腰を入れて勉強しなければならない。今回の試験でレギュラー入りになるかが確実に決まるから、絶対に順位をへたに下へやってはいけない。そんなプレッシャーと共にやってきた。








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