これを見たあとに読んだほうがわかりやすい
※ヒロト10年後



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10歳年下で弟のような存在であるマサキの様子を見に、久しぶりにお日さま園に帰ってきた。かと思えば、あの小さかったなまえが大きくなって、みちがえるほど綺麗になっていた。昔はよく一緒に鬼ごっこやかくれんぼなんかをして遊んだ、オレの妹みたいな存在のなまえ。オレは短い期間の中でいつのまにか、そのなまえのことを女として見るようになっていた。自分の気持ちを知ったときの驚きと焦りは今でも鮮明に覚えている。そして、ヒロトさん!とオレの名前を呼んで駆け寄ってくる彼女の後姿を、マサキはじっと見つめていた。あ、マサキ、なまえのこと好きなんだ。そう気づいたときには、きっともう、遅かった。


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物心ついたころからわたしはお日さま園にいた。ほんとうの両親には会ったことが無くて、毎日がすごく寂しかった。でも、いつも一人で部屋の隅っこにいたわたしに優しくしてくれる人がいた。ヒロトさんだ。ヒロトさんはわたしよりも年上の優しいお兄さんで、昔からずっと、もちろん今でも大好きだ。ヒロトさんが高校生になった頃、お日さま園に狩屋マサキという新しい仲間が増えた。マサキくんはヒロトさんとも仲が良くて、ヒロトさんが大人になって久しぶりにお日さま園に帰ってきた時なんて、とても喜んでいた。わたしもヒロトさんが帰ってきたときはすごく嬉しかった。同時に、なんだか寂しくなった。お日さま園に帰ってきたヒロトさんはとてもかっこよくて、わたしなんかには手の届かない存在になっていたのだから。



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なんだか今日はマサキの帰りが遅いなあ。せっかく忙しいスケジュールを割いて来たから、男同士語り合おう、なんて思っていたのに。なまえの作ってくれた手料理を口に運び、考える。あ、そういえばマサキってなまえのこと好きなんだよなあ。まだ確信はないけど、絶対そうだ。24年間生きてきたけど、あんなにわかりやすい奴は初めて見た。まだまだ子供なんだな、マサキも。「ごちそうさま」食べ終わった食器をキッチンへと運ぶと、黄色いエプロンを身に着けたなまえが居た。「先、お風呂入りますか?」「そうするよ」「わたしはマサキくんが帰るの待ってます」なんかなまえっていつでも優しいよね。マサキが落ちるのも理解できる。


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お日さま園の大浴場なんて入ったのは久しぶりだ。小さいころは晴矢や風介と一緒に風呂の中で泳いだりお湯を掛け合ったりしてよく叱られたなあ。あれももう懐かしい思い出だ。あ、そういえばマサキはもう帰ったかな?食堂にちらりと目をやると、誰も居ないのにもかかわらず、電気がつけっぱなしだった。電気を消そうと思い食堂に足を踏み入れると、マサキの鞄が椅子の上に置いてあった。ああ、もう帰ってたんだ。「・・・あ、・・・、!・・・ッ」・・・あれ?なんか今、声が聞こえた気がするんだけど。誰も居ないはずの夜の食堂で声が聞こえるなんて、これどこのホラーだよ。キッチンの方を向き、耳を澄ませる。「っマサキ、くん・・・ッ」・・・ん?「なまえさ・・・ッ」・・・・・・ん?・・・これ、なまえとマサキの声だよね。しかも、そういうコトをしているときの声。一瞬、思考が停止する。なんだか時間までもが止まった気がしたけど、それは違う。オレの耳はしっかりと二人の声をキャッチしているから。すべてを悟り、食堂を後にする。あーあ、先越されたか。しかも相手はマサキだ。絶対にオレのものにしてやる、なんて思ってたのに。大人げない。


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朝、目覚めは最悪の気分だった。なんていうか、悪い夢見てたからさ。「ヒロトさん」コンコン、と扉をノックする音が聞こえ、「朝食、出来ましたよ」なまえの声が聞こえてきた。傍らに置いてあった眼鏡を掛け、まだ覚めきっていない頭をトントンと軽く叩く。「・・・入って、なまえ」「・・・?あ、はい」遠慮がちに扉が開き、なまえがひょこりと顔を出した。「こっちまで来てよ」「?」なんの疑いもなく無防備な姿でオレの元へとやってきたなまえの首元には、赤いキスマークが付けられていた。・・・夢、だと思いたかったんだけどなあ。そうだ、ちょっと意地悪しちゃおう。「・・・マサキ」「・・・え?」やだなあ、マサキの名前を言ったくらいでそんなに怯えないでよ。「マサキは、もう学校?」「え、あ・・・はい」「そっか、なら丁度いいや」「え?なに、きゃ、ッ!」細い腕を掴み、引き寄せる。ベッドに押し倒し、逃げられないようにぎゅっと抱きしめた。


「な・・・に、を」
「マサキと君、兄弟なんだよ」
「えっ・・・?」


驚くなまえ。抱きしめているから顔は見えないけれど、オレが何の予告もなしに突然ここに帰ってきたときの反応と同じくらい驚いてるだろうと思う。まあ、「冗談なんだけどね」そんな都合のいい話が簡単に転がっているわけがない。もし兄弟なら、なまえたちの間に入る隙だって出来ただろう。マサキとなまえの関係を壊すことさえ容易かっただろう。まあでも、結局そんなものは嘘なわけだ。だから、強引に隙を作ればいいじゃない?オレはそういう考えを出したんだ。で、今、こういう状況。


「どうして、・・・そんな冗談」
「どうして?って、なまえが一番わかってるんじゃない?」
「・・・」
「ねえ、コレ・・・何?」


首元に散らばっているオレとは別の男が付けた所有印を、なぞる。すると、軽く触れただけにもかかわらず耳元でなまえが小さく声を上げた。なんか首元、敏感だな。もしかして弱いの?ココ。「これ、は・・・ッ、」「誰に付けてもらったの?こんな大層なもの」「・・・、」「・・・」言わないんだ。ていうか、言えないんだね。弟みたいな存在だったマサキとヤっちゃったなんて、純情ななまえには言えないよね。きっと初めてだったんだろう。ちゅ、と大げさなリップ音をたててキスマークの上から吸い付くと、細いからだが震えた。「マサキとどこまでしたの?」「・・・!」なまえと目が合うように顔を上げ、わざとらしく微笑む。笑う俺とは対照的に、なまえは怯えていた。あーなんか、そんな目で見られたら逆に興奮するな。愛されながらするのもいいかもしれないけど。


「悔しいなあ、マサキになまえをとられるなんて」
「な・・・に、言ってるんですか・・・ッ、」


思い切り服をずりあげると、成長したなまえの胸が顔を出した。昔はぺったんこだったのに。今じゃあもうこんなに立派になったんだ。女の子ってすごいなあ。なんとなく。「ここもマサキに触ってもらったの?」「違・・・ッ」ふふ、と微笑み、柔らかそうななまえの胸をぺろりと舐める。「あッ・・・!」びくんと跳ねる体。「体は正直だね」わざといやらしい音をたてて胸を舐めまわし、あまった方の手はすでになまえの下着に触れていた。布越しに伝わるなまえの温度。それを感じるように触っていると、足を閉じて抵抗してきた。けれどそんな小さな抵抗で大人の男の力にかなうはずもなく。結局大きく開かれた足からはなまえのいやらしいトコロが丸見えだった。「や、・・・ッだめ、・・・!」駄目なんていうのは口だけで、すでに下着の上からでもわかるよ?濡れてるの。「素直じゃないな」割れ目を人差し指でなぞると、敏感に反応する箇所があった。「・・・ここ、好きでしょ?」そこを重点的に攻めると、なまえはあっけなくイってしまった。びくびくと痙攣するなまえのソコを、きゅっと摘んでみる。イったばかりだからなまえの体が大きく反応した。「、ッ・・・はあ、・・・ッは、・・・」「オレはマサキと違って経験っていう武器を持ってるからね」なまえを快楽によって服従させることなんて簡単なんだよ。そう意地悪く呟いてみたけど、なまえに聞こえたかな。「ヒロトさ、ん・・・もう、やめて・・・くださ・・・ッ」言葉を無視して下着に舌を這わせる。でも今度はなまえの好きなトコロにだけ刺激を与えない。「・・・ぅ、・・・あ、あ・・・ッ」びくびくと反応する体は、もう完全にオレのものだ。「・・・どうしてほしいの?」「・・・意地悪しないで、ください・・・っ」頬を赤く染め涙を流すなまえ。こんな顔をマサキに見られたなんて。あー悔しい。


「なまえはオレの事が好きだよね?」
「は、い・・・、ッ」
「・・・マサキよりも?」
「・・・、!」
「・・・なまえ」
「・・・」
「・・・ッ」


・・・どうして君はオレの思いどうりにならないんだ。だんだんと苛立ちを覚える体は、すでに熱を帯びていた。なんだかんだ言ってオレの体も正直だ。なまえが今考えているのがオレの事じゃないとしても、もしなまえがオレを拒んでも、オレはきっとなまえを求める。・・・こんなのはただの交尾だ。気持ちなんて関係ない、本能的な動物のただの遊びだ。なまえの下着を強引に脱がし、体勢を変更。オレの上になまえを跨らせる。「え、ッ・・・?」戸惑うなまえに「自分で挿れなよ」追い討ちを掛ける。本当にオレは意地が悪い。我ながらつくづくそう思う。なまえの手をとり、挿入を促す。じんわりと大きな瞳に涙を浮かべ、ゆっくりとオレがなまえの中に入っていった。「ッ・・・きつ・・・、」「あッ、あ、あ・・・!」一度果てたなまえの中は痛いくらいにオレを締め付け、求めた。「オレとマサキ、どっちがいいの?」ずん、と勢いよく下から突き上げると、目の前で形のよい胸が揺れる。うーわ、やらしい。「う、あ・・・ッ・・・!」それを乱暴に掴み、揉みしだく。オレが腰を動かすたびになまえから零れる甘い喘ぎ声と、大粒の涙。


「可愛い、ッなまえ・・・」
「あ、っあ、・・・ヒロトさ、んッ・・・!」


目が合った瞬間、弱い場所を一気に攻め立てる。とどうじに、なまえが倒れこんできた。なまえの体とオレの胸板の間で擦れる胸から伝わってくる鼓動は、オレを感じている証拠だよね?「意識、飛ばさないでよ・・・ッ」「あ、ッあ・・・あ、!」何度も強く突き上げ、オレの体力もそろそろ限界に近づいているらしい。オレがこれだけなんだからなまえは倍の体力を消耗していることだろう。「ごめんね、・・・手加減、出来そうにない・・・ッ」ラストスパートをかけ、最奥を一気に突き上げると、なまえがオレを締め付ける。その瞬間、温かいものがなまえの中に流れ出した。あ、やっちゃった。


「はあ、ッは、・・・は、」
「なまえ・・・、」


息も絶え絶えになまえの名前を呼んでみるけど、返事はない。聞こえるのは荒々しい呼吸だけだ。倒れこんできたなまえの細い体をぎゅっと抱きしめる。マサキも、なまえをこんな風に抱いたのだろうか。こんな風に、キスをして、愛撫をして、抱きしめて。なまえのはじめてをマサキはオレから盗った。もしも、もしもあと少しだけでもオレが早くここに帰ってきて、少しでも早く自分の気持ちに気づいて、少しでも早くなまえを抱きしめたら。こうはならなかったのかもしれない。




「・・・マサキとオレ、どっちがいい?」


返事のない質問を、オレはまた、問いかけた。






崩 れ ゆ く 空 間
20120211
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