。 ○ 〇 。 ° ○ ねえなまえ、どうして僕を見てくれないの? 白竜と僕となまえ。僕たち3人は昔からずっと一緒だった。泣くのも、怒るのも、笑うのも、ずっと一緒だった。 なのにどうして。 夏、僕はなまえと白竜を海へ誘った。去年のようにまた3人で遊びに行こうねって約束した。なまえだって優しく微笑んで頷いた。 でもその日、なまえと白竜は来なかった。 そりゃあ色々事情はあるだろう。仕方ない。・・・そう思いながら、重い足取りで夏の夕暮れの中を一人、歩いた。 帰るべき場所に戻り、一人ため息をついた。 その時、隣の部屋から聞こえてきた声。白竜となまえの声がした。 ・・・何してるんだろう? 僕は白竜となまえの声が聞こえた隣の部屋の扉を音もなく小さく開いた。 その扉の隙間から見えた光景を、今でも鮮明に覚えている。 ・・・生まれたままの姿で繋がりあう、白竜と、なまえ。2人は僕の知っているような顔ではなかった。 僕は、その場で立ち尽くした。 煩い蝉の鳴き声が、僕の思考を更にぐちゃぐちゃにかき乱した。 。 ○ 〇 。 ° ○ 目の前に居るなまえ。 いとも簡単に僕に組み敷かれてしまった可愛い可愛いなまえ。 でもなまえは、僕のものじゃ、ない。 「好きになっちゃった」 そう告げると、なまえの顔は青ざめた。ああ、きっと今君は、白竜の事を考えているんだね。可愛いなあ。 「もう君は僕のものだ」 そんな言葉を呟いてみるけど、わかってるんだ。 結局君は、どれだけ僕が足掻いても僕のものにはならない。 なまえにキスをすると、なまえは泣き出してしまった。泣かないで、なまえ。あとでこれ以上に涙の出る行為を、僕はしようとしているんだよ。ここで泣かれちゃあ駄目だ。 なまえの頭を優しく撫でる僕。けれど、なまえはなんだか怯えていた。・・・どうしてだろう、僕はこんなにも優しく微笑んでいるのに。 「っどうして、私なの?」 なまえが口を開いたと思ったら変なことを聞いてきた。 思わず笑ってしまいそうになったのを懸命に堪えて、言葉を紡いだ。 「だって君は、白竜のものだからね」 これを告げた時のなまえの表情、傑作だったよ。 ねえ、もっと面白いこと教えてあげようか? 「僕は知ってるんだ、君たちが僕の知らないところでそういう関係になったっていう事。・・・僕たちは昔から3人でひとつだったじゃないか。どうして僕を置いていくの? ねえ、なまえ。」 「シュウく、」 「だから僕はなまえを好きになったんだ」 僕はね、ただ3人でまた仲良くしたいだけなんだよ。 ×
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