。 ○ 〇 。 ° ○ 好きになっちゃった。 シュウくんにそう言われたと思えば勢いよく押し倒されて、キスをされた。いつもの優しいシュウくんがそんな事するなんて考えられなかったから、すごくびっくりした。 そんな事より、すごく嫌な気持ちになった。 シュウくんとは昔から仲が良くて、私と一番仲のいい男友達、といったら真っ先にシュウくんの名前があがるほどだ。 ・・・そんなシュウくんは今、私の上に覆いかぶさって何をしてる? 「・・・可愛いね、なまえ」 「・・・シュウくん、」 「もう君は僕のものだ」 シュウくんのひんやりとした手が私の頬に触れ、シュウくんのさらさらな黒髪が束になってさらりと耳から落ちた。シュウくんのまだ少しだけ幼さを残した端正な顔が近づいてくる。 ゆっくり唇が重なって、シュウくんの短い息が漏れた。 「やめてよ、シュウくん」 「・・・どうして?」 「こんなの嫌・・・」 私の頭を優しく撫でるシュウくんの表情は、なんだかへんな感じだった。口元は笑っているけれど、目だけは全然笑ってない。 ねえ、シュウくん。 いつもみたいに優しく笑ってよ。 「泣かないで、なまえ」 驚いた。 ・・・私は、気づかぬうちに涙を流していたんだ。 私のことを優しくなだめるシュウくんの表情は依然、変わらないままで。 「・・・どうして、私なの?」 それを聞いた途端、先ほどまでかろうじて微笑んでいたシュウくんの口元はもう笑みを残していなかった。こんな怖い顔をしたシュウくんの顔を、私は初めて見たかもしれない。 ・・・だって、シュウくんはいつでも、笑っていたから。 「だって君は、白竜のものだからね」 「え」 「僕は知ってるんだ、君たちが僕の知らないところでそういう関係になったっていう事。・・・僕たちは昔から3人でひとつだったじゃないか。どうして僕を置いていくの? ねえ、なまえ。」 「シュウく、」 「だから僕はなまえを好きになったんだ」 シュウくんは、笑った。 ×
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