冒険者Bの独り言

 まったく、NPCって奴はほんと便利なイキモノでありしっかりオンナとして機能してやらあ。見た目は美しいがちと赤い目が如何にも人間じゃねえって感じをさせてしまうがそれ以外はその辺にいる町娘と何ら大差はない。あいつらよりもギャイギャイ騒がねェしむしろ良いところばっかりなんじゃねえか? 刃物を刺せば何でできているのか血を模した赤い液体が流れるもののそう簡単に死に至ることはなく、あいつらの頭上にある体力であるHPを表示するステータスバーが0になるまで時間がかかる。そこまでいくと流石に行動は停止するらしいがNPCと言えど殺してまでその事実を知りたいとは思わねえ。それ以外は普通の人間と一緒。そう、服を脱いだその下も人間と変わりねェってそれだけが知れたら十分だ。

「あなた冒険者ね?ナミモリへようこそ!何もない町だけどゆっくりしていってね」

 最初に目についたNPCを発見すると舌舐めずりをしながら近付いた。器量よし、背は少しばかり低い気がするがまあこいつで良いか。

「良い天気だなァ」
「あなた冒険者ね?ナミモリへようこそ!何もない町だけどゆっくりしていってね」

 目の前で立ち止まってみたり、その場でしばらく待機してみたり。こいつはこの会話のみしか発言されることを許されていないようだ。間違いなくNPC発言であることを確認するとすぐさまガムテープで口を縛り、音量をオフ。近くの茂みにまで連れ込み押し倒すと俺の事を恨みがましい顔で見ることもなく、ただ数秒に一度の瞬きのみで余所者を見返すだけ。こんなことをしている俺に対してもただの冒険者であると町への歓迎発言をして受け入れるだけ。

 ――なら俺の欲望も受け入れてくれるよなァ?

 服を脱がし、その辺に投げ捨てる。一丁前に女用の下着が目につくとニヤリと笑ってからそれも剥ぎ取った。別にこいつを縛る必要はない。これに自我はなく、こいつらはただ冒険者を受け入れるだけの役割しかないからだ。多少動くのは本来設置された座標に戻ろうとする自動行動だがそれも微々たる力しかなく俺は目的を果たすことに専念できる。つっても慣らす必要も濡らす必要もなく準備すべきはコッチだけだ。名もなきNPCは暴れることはなくただ話しかけた相手である俺を見ながらただ決まったセリフを呟き続けるばかり。俺達冒険者は意志のある生き物、NPCは受け入れる側だ。肌の感触を楽しむように舐め回してみても出るものは出ないしこの辺りは生理的な反応を求めては無駄だっつーことを俺は知っていた。何もこいつが初めてじゃないからだ。しかしこれはなかなか上物だなあ。たわやかな乳房が、緩やかなくびれがこれでもかというほどに俺の欲望を刺激させていく。少しばかり残っていた罪悪感だとか理性だとかを引き剥がしていく。

 …ああ、もう待てねえ!

 下着まで剥ぎ取りすっかりひん剥いてちまうと俺もガチャガチャとベルトを外した後にチンポを取り出した。扱く必要もないほどに硬く勃ちあがった俺のチンポは既に先走った液まで出てきている状態だったが仕方ねえだろう。最近はモンスターばっかりの森に入り込んでばっかりですっかりご無沙汰だったからなあ。

「クッ、」

 俺もこういう愉しみ方があるということを冒険者仲間に聞くまではただの真面目な冒険者だった気がする。ただイベントを町ごとにこなし、町の人間に感謝され、レベルをあげて次の町へ行く。しかしそれに亀裂が入ったのはいつだっただろう。――”この旅はいつまで続くのか”そう思ってしまってから唐突に俺の世界は白黒になっちまったんだ。つまんなくなっちまった。生きている意義ってもんを見い出せなくなっちまった。一度冒険者として名乗りあげてしまえば町人にはもう戻れない。町人の結婚し落ち着くか名声を挙げてそこで働くことになるのであれば話は別だが生憎俺にはそこまでの技量はなかった。

「あなた冒険者ね「うるせえ!」」

 ああそうさ、俺は世界から爪弾きにされちまった。こんなことしか楽しみがなくなってしまった。ガムテープをさらに巻き、さらにNPCの服を引き裂きそれで目隠しを施した。こいつらは目で相手を感知し、町人或いは冒険者に決まった言葉を吐き出す。視界を閉ざし完全に黙りこませると大きくNPCの膝を曲げさせおもむろに突っ込んだ。衝撃にNPCが俺から少し離れてしまったがすぐに壁へと頭を押し付けることによって固定し、そのまま抽出を開始する。排泄器官の存在はNPCの不思議の一つだ。先人の誰がこれを確認したのかは分からないがなかなか、それこそ冒険したと思うぜ。汗ひとつかくことはなかったが、柔らかな肌も胸も締め付け具合も最高だ。普通の人間じゃもう満足できねえよ。こんな自己満極まりねえセックスなんざNPC相手か金出して娼婦ぐらいしかできねえからなあ。

「……っはァ、」

 いろんなことを考えながらだったが上り詰めるのはあっという間だった。勝手に射精し、NPCの中に全て吐き出してしまうとずるりと引き抜く。これで俺は満足だ。目の前には目隠しをされ、無理やり行為に及ばれた全裸の女。自分の欲望もすっかりさっき吐き出したのと同様で流れてしまったのか少しは罪悪感が湧いてくる。気紛れに目隠しを取ってやると女は例の数秒に一度の定期的な瞬き。後、俺の顔を見て責めることもなくただNPCとしての役割を果たすべく口を開く。

「あなた冒険者ね?ナミモリへようこそ!何もない町だけどゆっくりしていってね」

 ……あーあ、せっかくいい身体してるのに勿体ねえ。もう一回シようかと思っていたがすっかり萎えちまった。次の町では無言NPCでも探して捕まえるべきだなあ。
 機械的に立ち上がり、いつの間にか破いた衣服を再度身にまとい決められた座標へと戻るNPCの後ろ姿を見送りながら俺も今度こそ”冒険者”としての役割を果たすべく人の良さそうな笑みを浮かべつつ町へと入る。あーつまんねえ世の中だ。冒険者も町人もNPCも全部全部、クソッタレ。
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