▼ ▲ ▼



「こんな時間に出歩いて危ないよ」

 夜〇時。職場からの帰り道、ふらりと電柱の影から現れたのが不審者じゃなく雲雀くんでとってもびっくりした。たまに会う人だなと思っていたしどうやら学生時代と同様並盛の風紀を守るための見回りは絶賛継続中らしい。

「君は一度危ない目を見ないと懲りないのかな」
「そういうわけじゃないよ」
「どうだかな」

 雲雀くんは怖いけど優しい人であるということは最近頻繁に会う人だからこそ知っている。こうやって私にまで気にかけてくれるんだもの、これで不審者に会った暁にはそら見たことかと怒られそうなのでこれからは気をつけよう。
 ふわり、柔らかい香りが鼻孔をくすぐり何かと思うと雲雀くんが目の前に居た。…あれ、いつの間に? 驚いた私は気づいてしまった。雲雀くんの目が赤く染まっていることに。緩やかに釣り上げられた口端から白い尖った牙が覗いていることに。

「吸血鬼が徘徊しているっていう噂があるんだ。君も気をつけないとね」

(真夜中にはご用心)
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -