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「おやつタイムですよ雲雀さん!」

 三時になれば僕のことをちっとも怯えもしない風紀委員の一人がやってくる。これまでにも何回か注意はしたんだけど一切聞き入れないし草壁だって呆れているぐらいの問題児は何やら甘ったるいものを手にしていた。廊下は走るな、だとか学校にお菓子類は禁止だよとか色々言いたいことはあるんだけど残念ながら今日持ってきたものは家庭科の時間に作ったクッキーだということを昨日から聞かされていたので仕方なく覚えている。どうやら僕に食べさせたいらしい。

「うまく出来たの」
「えへへ、ちょっと見た目はアレですけど味は間違いないです」

 そうやって僕の前に広げてあった書類をサッと横に遣り手際よく並べ、すぐに戻って来ますとお茶でも入れに給湯室へと向かうその後ろ姿を見ながらハアと大きく息を吐いた。
君は僕のことを鈍いだとか、女心を何も知らないだとか言うけどさ。君の愚行を許したり一緒にお菓子を食べることを許可している理由を理解しない君もなかなか大概だと思うよ。

(甘いもの2つ)
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