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今日は何だか忙しかった。やっと一息できる時間になり休憩がてら人気の少ない階段に座り込むとどっと疲れが押し寄せる。
「サボりかい」
「委員長…じゃなくて雲雀さん、お疲れ様です!」
私の中では委員長呼びがなかなか抜けない。昔も今も私の上司だ。しばらくは珍しい匣を見つけただか何だかで帰って来ないとは聞いていたけど今まさに戻ってきたところらしい。…私よりも断然疲れているよね。いつもはビシッと決めてあるスーツは少し煤けていたり少し血の匂いがしたのは気の所為であってほしい。海外にまで喧嘩しに言ったとか流石すぎて笑えない。
「あげる」声が上がったのと同時に、雲雀さんが何かを投げつける。平気で匣も放り投げる人であることはよくわかっていたので慌ててキャッチするとそれは何の変哲もないコーヒーだった。もちろん未開封、少し温かい。慌てて見たときには既に雲雀さんの姿は遠い。ありがとうございますと大きな声で投げかけてみたけど手をヒラリと振られただけ。
大事に飲もう。
ポケットに突っ込んだものの顔がにやけてしまうのを抑えることは出来なかった。
(「君を探していたら温くなったんだ」)