▼ ▲ ▼



 ぱちり、目を開いたのは戸締まりをしたかどうか不安だったからだ。帰ってきた恭弥を迎え入れた後、私は鍵をかけただろうか。きっといつものクセになっているようなものなので出来ているに違いないんだけど、気になればなるほど目が冴えていく。これじゃ私の睡眠時間が減っていくだけだと諦め恭弥を起こさないようソッと起き上がり冷たい廊下を歩む。スリッパを履いていけばよかったなと思ったけどあと数歩のために戻るのも面倒くさい。…良かった、ちゃんと鍵はかけられていたみたい。この間、1分にも満たず。自分の家なのに冒険者のようになったのはやっぱり暗いからだろう。
 部屋に戻れば静寂が待ち構えている。規則正しい恭弥の寝息。身体は少し冷えてしまったから起こさないと良いなと戻ったとき、恭弥がもぞりと動く。

「……ふふ、」

 思わず笑ってしまったのは恭弥が私が眠っていた場所を探るようにして手を伸ばしたから。目は堅く閉じられどうやらまだ眠っているようだけど。そうだね、そこに私が居なかったら寒いよね。
 その穏やかな寝顔が一変、眉間に皺が寄っていくのが分かり私はいそいそと自分の定位置に潜り込むのだった。

(寒い部屋、あなたとふたり)
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -