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彼女は少し、頑張りすぎる節がある。
特別勉強ができたわけじゃない。特別戦えるわけじゃない。ただ真面目で、自分のできることなら限界まで頑張ろうと試みる。その態度を悪いとは言わないけどもう少し自分の限界を理解すべきだ。ギリギリのところまできてるくせにまだ大丈夫なんて自分を追い込むなんて愚の骨頂。僕は君をそういう風に教育したつもりはないけれど。
「ひっ、雲雀さん…?」
心配?いいや、違うね。僕は今ムカついてるんだ。何かあればすぐに報告しろといつも言っていた僕の忠告を聞かないから。仕方ないから馬鹿な君にもう一度教えてあげるよ。その身でしっかり経験して覚えておくといい。
それから考えておくといいよ。どうして僕が僕より弱い君を咬み殺さず傍に置いておいたことを。驚く彼女を組み敷き、頬に触れ耳元で囁いた。
「甘やかしてあげるよ」
──存分に、ね。
(頑張るあなたに)