▼ ▲ ▼



 確かに僕は彼女が誰にも捕まったりしないよう、誰かに拉致だの嫌がらせだの受けないように強くあってほしいとは願った。願ったけど何かが違う。
 突然僕の目の前に現れたやけに煩い白髪の女が僕に言うんだ。その願いを叶えてあげようと。


「うーん、どうだろう?私の世界では魔力の強さが物を言うところだったんだけどここの世界じゃ魔力を持っている人の方が稀有なんだよね?うんうん、彼が確かそういっていたから覚えてる。じゃー貴方のいう強くなってほしいとはどういう意味だろう?それはちょっとだけ興味あるなあ、あ、でもこの前銀髪の彼と一緒にテレビで見たんだけどやっぱりこの世界はちょっと野蛮だから腕力が強いほうがいいのかな?そうだよね、だって私も彼もそれを見てすごい興奮したんだし。ってことで了解、あなたの願いかなえましょう。え、どうしてここに来たって?そりゃ暇だからに決まってるじゃない。あと貴方の武器ちょっと貸してほしいなーとか思ったけど近接武器はちょっとお呼びじゃないからやっぱりいいや。ってな訳で貴方が目覚めた頃には貴方の彼女、超強くなってるから。さっすが大魔術師の孫のワタシだね。すごいすごい!じゃあねー!あ、効果は一日限りだけどまた欲しかったら夢の中でお会いしましょう!」

 そして目が覚めたら惨劇になっていた。彼女に群がる男は少なくない。寧ろ変な男ばっかり近寄ってきて恐ろしいぐらいだったんだけど、今日はその群がる男が全員、彼女によってぶん投げられているという恐ろしい事件が目の前で起きていた。
 何てことはない。僕の願いを聞き遂げた魔術師とかいうふざけた女は彼女の腕力を大幅にパワーアップさせてしまったのだ。あのムカつく保健医でさえ砲丸投げの要領で保健室から運動場の端まで飛ばされた時はさすがの僕も息が詰まるかと思った。


「…あの魔術師、絶対に咬み殺す」


そんなオプションさようなら!
 あの子に会いたいけど僕ですら捻り潰されるんじゃないかと思うと若干今から憂鬱だ。怪我なく一日過ごせるようにと珍しく神に祈りをささげて僕は彼女のいる教室へと向かった。



(×JOB!の魔術師ちゃんが遊びに来てくれたお話/最強主人公をしようと思ったら何か可哀想な強化になってしまった)


(そんなオプションさようなら!)
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -