奪う


「今日もベルフェゴール様の動き綺麗だったね」
「…そうだね」

 キャーキャーと女共が何を話していたとしても興味はねーけど隣の部屋にいる俺の気配が読み取れない辺り流石まだまだド新人ってとこか。窓を開けてぼんやりと外を見ながら俺はそんな事を考えていた。まあどう見ても使えなさそうだもんな、エリって。それでも嵐隊の人間として俺のとこに入ってきたのは計算通り。だって俺王子だもん。しししっ。あーもー笑いが止まんね。

 …ああ、仕方ねーから紹介してやるよ。監視カメラなんてモンもなければ目があちこちについているワケじゃねーけど俺の隣の部屋で自分たちの隊長である俺の事を惚れ惚れとした表情を浮かべながら話している女…の、隣にいる無表情な女、エリ。俺のお気に入り。日本人で俺と同い年ぐらいだっけな、たまたま記憶ブッ飛ばして遊んでた帰り道に俺が持ち帰った俺だけのモノ。そのままサボテンにしちまうかダーツボードとして使おうと思ってたのに意外に使えるし頭もそこまで悪くねーから王子の特別枠として話し相手としてボスに掛け合って非戦闘員だけど俺の隣に居ることを許した唯一の女。

 ま、人の好意にはとことん鈍いアイツがそんなこと理解する筈ないし別に良いんだけどさ。それでもそろそろ俺としてはエリに違う目で見てほしいワケ。意識して欲しいワケ。その後のセックスだとかも当然ヤりたい盛りな健全男子だけど取り敢えず身体の前に心が欲しい。恋愛って馬鹿らしいなんて俺だってそう思っていたけどアイツになると話は別。アイツの全部は俺のモノ。そうじゃなけりゃ居る意味ねーし?
 そういう意味じゃ俺もある意味マーモンに負けない強欲さを持ってるかもしれない。特別ってことでご愛嬌。欲しいモンは欲しいから仕方ないっしょ。

 まー取り敢えず、

「…でも私もベルフェゴール様、よく目に入るんだよね。気が付かない間に目で追ってる、のかな」

 第一歩。これは間違いなく俺の勝利。アイムウィナー。
 俺がエリの目に、視界に入るよう全部計算尽くし済み。お前みたいなパンピ同然の動きも生真面目な性格から殆ど同じ時間帯に同じ行動する習性を持つお前の前に現れるなんて王子には超ヨユーの難易度Cランク以下。覚悟しときなエリ。お前はぜーんぶ、俺が貰うから、さ。

「早く堕ちてこねーかなあ」

 うししっ。ほーんと、楽しみ。
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