飛行訓練 3/3
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「あいつの顔をみたか?あの大まぬけの」

レギュラスとネビル君に声が届かないところまでいったとたん、ドラコ君が大声で笑い出した。
その言葉を発端に他のスリザリン生までもはやしたてた。

「やめてよ、マルフォイ」

えーっと、名前がわからない。
けど可愛い女の子がドラコ君に言った。

「へー、ロングボトムの肩を持つの?」
「パーバティったら、まさかあなたが…」

今度はおかっぱの女の子がさっきの女の子に言う。
ほう、パーバティちゃんね。
把握した。

「ごらんよ!」

ドラコ君が今度は思い出し玉を拾い高々とさし上げた。

…さあて、これはいわゆるいじめというものだとおもう。
ドラコ君を筆頭にネビル君をいじめているわけだ。
これは由々しき事態。
私が止めねば。

「こっちにわたせったら!」

気付くとドラコ君が宙に浮き、ハリー君が箒を掴んでいる。
あれれ?
非常にまずい。
今にも飛ぼうとしているハリー君をハーマイオニーちゃんが必死でとめている。

「あー、ハリー君。そこで小物の挑発に乗ってしまうと、いささか格好悪いんじゃないのかい?」

ハリー君はこちらをじろりとみた。
なんで止めるの。そんな目。

「リシュヴァさんの言うことを聞いて大人しくしているのが懸命だわ!」

ハーマイオニーちゃんも声を張り上げる。

「このままだとスリザリンの点が減るだけよ!あなたが飛んだらグリフィンドールまで減点されてしまうわ!」
「そうだそうだ。あとドラコ君も降りてきなさい。お父さんが聞いたらどう思うかな?」

2人はお互いの顔と、私の顔を交互に見ながらばつの悪そうな顔をしている。
ドラコ君がそーっと降りてきた。

「ああよかった。さあ、授業を再開しよ―――」

甘かった。
ほっとした瞬間、2人が同時に飛び出した。
あぁー!このくそがき共!!

上空で2人が言い合っている。
まだ思い出し玉はドラコ君の手の中。
ドラコ君の飛行はおぼつかないが、ハリー君は完璧。
血は争えないんだな。
って、そんなこと考えてる場合じゃないよ!

「ゴルァ!デコ!天パ!!降りてこいっつってんだよ!!」

思わず汚い言葉が出てしまった。
右手を横に出すと、ぱしっと箒が飛んでくる。
私がいつも掃除でこき使っている相棒だ。
それにまたがり、2人のもとへ急上昇した。
2人はやっべ!という顔をしてこちらを見る。
だがすぐに視線をもとにもどし、また睨み合った。

「取れるものなら取るがいい、ほら!」

ドラコ君がガラス玉を空中高く放り投げ、稲妻のように地面に戻っていった。
私はガラス玉よりも、ドラコ君を捕まえることに専念した。
上空1メートルほどで緑色のローブを掴み、それからゆっくりと地上に連行した。

きゃああああ!

女の子の悲鳴がいくつも重なっていた。
振り向くと、ハリー君が思い出し玉をしっかり手のひらに握りしめている。

「ハリー君」
「ハリー・ポッター……!」

私が呼ぶのと同時に、マクゴナガル先生の怖い声が聞こえた。
ハリー君がぶるぶると子犬のように震えている。
わかる。わかるよ、その気持ち。
私はドラコ君をがっしりと捕まえながらうんうんと激しく同意した。
パーバティちゃんが先生に意見したが素早く却下され、続いてロン君のもピシャリと切られてしまった。
そして、ハリー君がマクゴナガル先生に連行されていくのを、みんな黙って見ていることしか出来なかったのだ。


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