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ときどき、セブルスがリリーと一緒にいるところを見かけた。
冬にもなればだんだんと学校の暗黙の了解がわかってきたようで、その逢瀬は人目をはばかるようにされていた。
それをわざわざ誰かに話すほど僕も野暮じゃないので、チラと二人を見ては、見てみぬふりをした。

「ハロルドっ」
「ジェームズ」

悪戯仕掛け人(もうこの呼び名が大分定着していた)の中で、躊躇いなく僕に話しかけるのはジェームズだけだった。
シリウスはどこか見下したような、汚いものを見るような目で見ては僕を避けた。
それが僕にとってはとてもキツかった。
リーマスは僕を見るなり逃げ出すようになった。まあ色々と理由は心当たりがあるので、そのたびに僕は後悔していた。
ピーターはまだましかもしれない。
避けることも、逃げ出すこともしないから。
でも、だからといって笑顔で話しかけてくるような関係では無かった。

「何?グリフィンドールが。」
「またそれかい?まぁ、そうだよね。どこか別の場所を探そう。」
「それがいいかも」

僕らは他の生徒に見つからないようにして、薄暗い廊下へ移動した。
セブルスとリリーだけに限ったことじゃないのだ。
僕とジェームズが一緒にいても、周りからは怪訝に思われた。

「ここらで平気?」
「多分。っはー!疲れる!なーにがグリフィンドールだよ!スリザリンだよ!何が違うってんだ僕らの」
「仕方ないよ。そういうルールなんだ。」

ジェームズはふんっと鼻をならした。
ジェームズは、最初こそスリザリンに偏見があったものの、僕という異分子に触れて、少しずつその偏見が薄れていったらしい。
でも、僕以外のスリザリン生と親しくしている素振りはなかった。

「それで?悪戯仕掛け人には入らないよ」
「ちぇっ。その話しをしにきたのに」
「君も懲りないね。僕は入りたいなんて気持ちは欠片も無いのに」
「その考えを変えてみせるのが僕の仕事だよ」
「でもさ、もし僕がオーケーしたところで、他三人が反対なんじゃないかな」
「そんなことないさ!シリウスもリーマスも、照れてるんだよ。」
「そうには見えないけど。」

ジェームズがスリザリンに対しての偏見が薄れていくのに比例して、僕もジェームズに対する偏見が薄れていった。
最初こそ嫌なやつだと思った。スネイプの言う通りだと。
でも、それだけがジェームズではないと、触れ合いの中で気づいたのだ。

「なぁ、ハロルド」
「何だいジェームズ」
「君はなんでスニベルスと一緒にいるんだ?」
「………」
「リリーだって。あいつのどこがいいのか、僕にはわからないよ」
「時期にわかるさ。君が、態度を変えればだけど。」
「どうかなぁー。無理かも」
「それじゃあいつまでもわからずじまいだろうね。」
「………」

薄暗い廊下で、二人ははぁ、とため息をついた。


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