決別と決意 1/2
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「セブルス、おはよう!」
「うるさい…」

学生生活2日目の朝、挨拶と共にシャーッとカーテンを開ける。
セブルスは朝に弱いようで、もぞもぞとより深く布団に潜ってしまった。
スリザリンの寮には窓がない。
なので時間を知るには時計だけが頼りだった。
揺すっても小突いてもどうしても起きないセブルスを残し、僕は寮を出た。
階段をのぼり、まだ誰も居ない大広間を抜けて、城の玄関に来た。
意図的に来た訳じゃない。
足の赴くままなんとなくあるいてきた。
壁に寄りかかり、ぐるりを見渡す。
…沢山の想いがこみ上げてきた。
ゆっくりとロビーを歩いた。
床に膝をつく。
いや、膝が折れて、床にしゃがみこんでしまったのだ。
ぱたたっ
と、しずくが、綺麗な床にこぼれた。
はっとして、顔に手をあてると、僕は泣いていた。

「あっ…」

自分でも気づいた。
自分の、その気持ちに。

「あぁ…あああ!」

あの時出なかった涙が、今になって襲いかかってきた。
もう何年も昔のことに思える。
でも実際は、ほんの数日前であり、何十年も先の未来なのだ。

「ごめんっ…ごめんなさいっ………!」

次から次へと、涙があふれ出てきた。それをとめる術を、僕は知らなかった。
ぽたぽたぽた、手ではおさえきれなくなり、どんどん床を濡らしていく。
ぽん、とそのとき肩をたたかれた。
あたたかかった。

「ダン…ブルドア…先生」

振り返ると、半月メガネの奥に、優しい目を携えたダンブルドアがいた。

「ハロルド…いや、ハリー。
わしは君に何があったのかは知らん。聞こうとも思っておらん。じゃがの、きっとそれは未来のことじゃ。未来のことを、後悔することは出来んのじゃよ」

そういうと、ダンブルドア先生はほっほっほと笑い、向こうへ歩いていった。

「それとなハリー、強く思えば、きっと時間はまた君の味方をしてくれるはずじゃ」

くるり、また歩き出した。


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