NO.6 | ナノ


▼ 熱を孕んだ泡

石鹸に、欲情の続き
※エロしかありません
※初っぱなから最後までエロしかありません
※長いです
※それなりに直接的な単語を使ってます
※閲覧は自己責任でお願いします












ベッドに紫苑を落として服を手早く脱がす。
古いベッドの、弾力もほとんどなくなったスプリングが軋む。
肋の浮いた白い肌に赤い蛇が這っている。
紫苑の体はNO.6にいた頃より、ずっと細くなった。
眉を寄せる。
それは、食も不自由なく得ることが出来たNO.6にいた時とは違って、ろくな物を食べさせてやれないからだ。

1日を食いつなぐのが精一杯なこの西ブロック。
ネズミ達はまだ他よりは裕福な生活をしている方だと言えるだろう。
それでも贅沢はしていない。
一日の食事量は他とさして変わらない。
紫苑と一緒にいたいけれど、紫苑を思えばNO.6にいた方がよかったんじゃないかと、時折思ってしまう時がある。
それにネズミとしては、紫苑に借りを返すつもりではいたけれど、もう一度でも会うつもりはなかったのだから。
そうは思っても、罪人と認定されてしまった紫苑は矯正施設に送られる途中をネズミが救出した故、NO.6には戻れないのだが。

「……ふ‥っ」

あばらの浮き出た紫苑の脇腹を撫でる。
浮いたあばらがネズミの指の下で存在を主張している。
一本一本を確かめるように撫でると紫苑は目を細め、くすぐったそうに身をよじった。
首の蛇行跡に沿って唇を滑らせて、紫苑の乳首を歯で軽くはむと、紫苑の腰が小さく跳ねた。
ここ、西ブロックに来て何回もした行為のせいで、乳首も開発されたんだろう。
体をくねらせてよがる紫苑は艶めかしい。
そうなるように開発したのは、勿論ネズミである。

「ンっ! ん…ふ…っ、ンぅっ‥や… ひぁっ」

散々歯や舌でいじくりまわして赤くなった紫苑の乳首に吸い付けば、主張するように細い腰がバウンドして一層高い嬌声が上がる。
紫苑の下半身に目をやれば、紫苑の性器はもう立ち上がり存在を主張していた。

「もう立ててんのか? 早いな」
「きみが、触るからだろ…っ」
「おれが? …まだ乳首しか触ってないだろ」
「ひっ!」

立ち上がって主張している紫苑の性器を握り込めば高い声が上がる。
くすりと笑って性器の裏筋をくすぐり先端に爪を立てると、こぷりと先走りが溢れ出た。
片手で性器をいじりながら、口で乳首を刺激すれば、紫苑の口から単語にもなっていない単音が聞こえた。
紫苑の手がネズミの頭に当てられて、胸をまさぐるネズミの頭を押し返そうとするが、対して意味はなされていない。

「はっ‥ぁっ、ん ぁっ‥ネズ…んっんっ」
「指入れるぞ」
「やっ…待っ! っ、く ンぁっ!」

竿を伝って後腔へと落ちた紫苑の先走りを利用して、紫苑の後腔に中指を差し入れた。







「んっ、ああっ…あっ…ふあっ、ンっ‥や‥んっ ぁあ!」

紫苑の嬌声と行為独特の音が響く地下室に、淫靡な香りが漂う。
それでも紫苑の首筋に顔を寄せると清廉な石鹸の香りがして、その対比がネズミを更に興奮させた。
本の多いこの部屋では紫苑の声も吸い込み反響させず、聞こえるのはネズミしかいない。

「んっ、んあっ、ふっ‥ぅあ… ネズ…ッ…あっあっ、くぅ‥うっ!」
「…いっ、て」

ネズミの背に回った紫苑の手が、服越しにネズミの肉を強く引っ掻く。
ピリッとした痛みに眉を寄せるが、ネズミの激しいピストンに必死に耐えてくれているのだと思うと、少し嬉しい。

「紫苑」
「っ…んっ…ん‥はあ……ぁっ」

律動を緩め、生理的な涙を流した紫苑の上気した頬を撫でてやる。涙の付いた白い睫毛が震え、ゆっくりと目が開く。
快楽の色に染まったネズミの灰色の瞳に胸が高鳴るが、その奥に潜んだ別の色に、紫苑の胸が嫌な方に騒ぐ。

「はぁっ…ネズミ…一体どうしたんだ。きみらしくない」
「……うるさい」
「ネ、んぅっ」

こんな性急に行為を求められたことなど今までにない。
ましてや、イヌカシの所へ仕事に行かねばならぬのに、それを無視してでもセックスを強要するなど。
それに、どこか焦っているような、苛立っているような気がする。
きみらしくない。

行為の途中でわめく紫苑に苛つき、紫苑の口を自らの唇で塞いだ。
紫苑の咥内を苛立ちを隠すこと無く舌でかき回す。
おれらしくないとはどういうことだ。
結局、あんたはおれを上辺だけしか見てないということじゃないか。
…そうするように仕向けたのは、おれ自身だっていうのに。

「んっ、んーっ、…ンぁ…ンっ…む、んぅうっ」

口づけたまま、律動を早めるとびくびくと震えながらくぐもった声が聞こえてくる。
中をかき回して、前立腺を亀頭で刺激してやると甲高くも、苦しげな声を上げた。

「っああぁぁっ、はぁっ…く、ぅ‥ぅっ」
「紫苑…っん」
「ネ…ズミ…んっ、やっ、だめ、そこ…だめっ…や、! あぁッ!」

ネズミの背に回っていた紫苑の手の力が抜け、紫苑の上体がベッドに沈んだ。
それにより動きやすくなったネズミは紫苑の腰を掴みピストンを早め、紫苑の前立腺を強く刺激した。
前立腺を刺激され、紫苑の性器からはドロドロと勢いのない精液混じりのカウパーが零れ落ちる。
常に射精しているような、そんなオルガズムに紫苑の全身が強張り小刻みに震えた。

「ンあっ、あっあーっ! やっ…だめ…だめえっ! も…ヒ ぁアッ」

口ではだめだと言いつつ相当イイんだろう、紫苑は自らの腰もネズミの律動に合わせて揺らし蛇がまとわりついたような帯状痕の伸びる首を仰け反らせて喘ぐ。
キツく自身を締め付けられる快感に息を詰めながら耳元で紫苑、と囁けば、快楽にとろけた紫紺色と目が合った。

「気持ち、い、んだろ…っ、紫苑」
「や、あっ…あっぁっぁーっ‥んぁあっ」

これだけよがり自身からはダラダラと吐精しながら、首を横に振る紫苑は変な所で素直じゃない。
ぱっと更に朱が指した紫苑の頬。
羞恥を感じて恥ずかしいんだろうことはよくわかる。
それでも。

「なあ、紫苑…っ。ここだ、あんたのいいところ」
「ひぃぅっ! やあ、やあぁっ、…は‥ひあっ、だめっ…あ ぁああっ」
「気持ちいい、…っ、だろ?」
「ひあぁあっ! やぁ、やっ‥あぅっ、ん、きもち、いい…っ、ふあぁっ ぁあっ」

快感に霞みとろけた瞳なのに、どこかネズミを哀れんでいるかのように見える理性を孕んだ紫苑の瞳に、また苛立ちが湧く。

ほら、また、あんたは黙っておれを受け入れる、だけ。

苛立って、熟知した紫苑のいいところを強く刺激する。
ひくっと紫苑の喉が引きつり、脚が震えた。

「ぁああッ、や‥っ ネズミっ も…死んじゃっ、ひぁっ…あぁっ あっあぁぁーーっ!」
「っは…しおん…っ、ンッ!」

これまでにないほどのオルガズムに仰け反り絶頂した紫苑の腰を引き寄せ、喉の奥で喘ぎ声を小さく出しながら紫苑の最奥に吐精した。
小刻みに痙攣する紫苑の体。
性器から滴った精液は荒く息をする紫苑の腹をドロドロに汚していた。

「ネズ‥ミ」
「後はしとくから、もう休め」
「ネズミ…」

ゆる、と紫苑の手がネズミを求めて彷徨う。
紫苑の瞳は快楽と睡魔と、あとはネズミには到底計れない紫苑の思考で潤み、深く溶けていた。
ネズミを求める手と溶けた紫色の深い瞳を、見て見ぬふりして立ち上がる。
そのまま、彼は風呂場へと消えた。
ネズミを掴めなかったその手はまだ空をゆるりと彷徨う。

「きみだから、男同士のセックスも、受け入れるのに」

紫苑は彷徨っていた手をベッドに落とし、一撫でして呟く。
ネズミは紫苑の話を信じない。
願えば叶う内容も、ネズミには幸せすぎるから。
夢のように思えるから、信じたくないのだ。
紫苑のネズミへの好意も、想いも全て。
信じない、嘘だと思い込んで、紫苑の言葉を聞かない。
紫苑の言葉は全てネズミには正反対の言葉へと変換されている。
未だにくすぶる身体の熱を気のせいにして、目頭に溜まる熱を隠すようにベッドに落とした手を顔に被せた。

紫苑がネズミの無理やりする行為に素直に従うのも、ネズミがただ思春期故に盛ったものだと。
そう紫苑が思っているのだと、ネズミは勘違いをしている。
だからそれに付き合ってくれている。
決しておれがあんたをそういう意味で好きで堪らなくて抱いたなんて、あんたは思っていない。
そう思っている。
シャワーを浴びるネズミの顎を水が滴って落ちる。
真冬に冷水を浴びるなんて正気の沙汰じゃない。
けれど、そうしなければ、この胸をくすぶる心地良い熱も、ムカムカするような熱も、鎮火してはくれないから。



遠回しな、愛の拒絶。

「そうだろ、ネズミ」
「そうだろ、紫苑」

じゃなきゃ、なんできみはぼくの気持ちを知っていながらぼくを抱く。
何故あんたは黙っておれを受け入れる。
その理由が分からないじゃないか。






‐‐‐‐‐

書いてる本人がわけ分かってないです。
でもネズミ→←紫苑ですよ。
そう。スランプです(どーん)

2012/08/12


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