NO.6 | ナノ


▼ 石鹸に、欲情

 
※エロだけどぬるめ



パラ、パラ
静寂の中、本をめくる音だけがする。
その静寂を、紫苑の柔らかいテノールが遮った。

「ねえ、ネズミ、ネズミ」
「なんだ」
「うん、あのね…」

パッと嬉しそうな表情で、ネズミからしたらくだらないことを楽しそうに話す紫苑。
石鹸の香りがする。
これは、イヌカシの所で犬洗いの仕事をするようになってからだ。
真っ白の髪や、赤い帯状痕のある肌から、紫苑がなにか所作をするたび香る。

「紫苑」
「ん? なんだ、ネズ……んぅっ」

紫苑の口を唇で塞ぐ。
舌で唇をノックしてやれば、紫苑は口を開いて舌を招き入れた。
歯列をなぞって舌を絡めると、おずおずとネズミの舌に自身の舌を絡める。
ディープキスなど何度もしているというのに、いまだ慣れないその仕草にネズミの胸が疼く。

「ん‥ふ‥っ、ん ぅ‥っ」

鼻にかかったくぐもった甘い声が紫苑の喉から聞こえる。
力が抜けたのか、背後の本棚にずるずるともたれかかりながら落ちていく紫苑の唇を追って、ネズミもかがむ。
紫苑の手がすがるようにネズミの腕の服を握りしめているのに気づいた。
気分がいい。

「ン‥は…っ、はぁっ、いきなり、なに…ネズミ」顎にたれた、ネズミのものか紫苑のものか分からない唾液を手で拭いながら、紫苑はネズミを見上げる。
蒸気して赤くなった頬。
赤い帯状痕も、さらに赤みを増したように思えて、下肢が疼く。
潤んだ紫紺色の目がネズミを映して、石鹸の香りがして。

「欲情した」
「えっ」
「あんたに、欲情した」
「ちょ、ネズミ…ぼくこれからイヌカシの所に…ひっ!」

ここまでしておいて拒絶する紫苑にイラついて、ズボン越しに性器を掴みあげる。
引きつったような悲鳴。
そのまま扱けば、紫苑の声にわずかに嬌声が混じる。

「いっ、いた…アッ! やっ…んっ、ン‥あぅ‥っ」

紫苑の性器をいじるネズミの手に、若干湿った感じがすることに気づく。
カウパーが溢れ出ているのだろう紫苑の性器を想像して笑う。
このまま服越しに達させてもいいが、ズボンと下着がぐしゃぐしゃになってしまう。
それはだめだ。
何もかもが揃うNO.6にいた時とは違って、今は紫苑もズボンはこれしかない。
ベルトを外してズボンを下着と一緒に脱がす。
左足に絡みつく帯状痕を指でなぞると、小さなくぐもった声と一緒に紫苑の足が跳ねた。
白い肌に這う赤は、艶めかしい。ぺろり、舌なめずりをする。
ふくらはぎから太もも、股間へと這う帯状痕を指で辿って、その手を先走りの溢れる性器へ移した。

「っ、ンっ、あ…ッ、ひ‥‥や、ンん…っ!」

直で性器を扱きあげれば、更に艶を増した嬌声。
紫苑の甲高い声は、女ほど愛らしいものではない。
男の喘ぎ声など耳障りで不快でしかないのに、紫苑の声は心地いい。
目を細めて紫苑の嬌声を聞く。
元々いい声をしているんだ。
当たり前だ。

「ふ…ンぁ…っ、は‥はあっ、や、もう…っ、ネズ…ミっ!」

絶頂が近いのか、ネズミの腕を強く掴んで頭を振る紫苑。
そのたびに、石鹸の香りが漂う。
その石鹸が香るたび、ネズミが紫苑に欲情していることを、知ることはないのだろう。

「あぁっ、あッ、ネズ…んっ ふ…っ、も‥や、っは、ふぁっ、アっ…ーーーッ!」

紫苑の流す先走りの力を借りて、激しく上下に扱く。
カリをなぞり、敏感な先端に爪を立てると、紫苑は背を反らせて達した。

「紫苑」
「はぁ、は…っ、…?」
「続き、やるぞ」
「ネズ…っ」

肩で息をする紫苑に二の句を次がせずに、抱き上げてベッドに落とす。
安く古いベッドのスプリングが悲鳴を上げた。
ここまできたら紫苑も覚悟が決まったのか大人しい。
紫苑はきっと、ネズミを黙って受け入れるのだろう。
黙って、ただされるがままに抱かれて、よがって、喘いで。
ただ、それだけを。
ぐっと下唇を噛み締める。

それが、おれにとって、最も苦しめることだって、あんたは知らずに。

ネズミの手は、苛立ち荒れ狂う胸中とは真逆の優しさで、紫苑のYシャツへと伸びて行った。


‐‐‐‐
続かない((
需要があったら続き書きたい、な((

2011/11/29


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