赤い騎士 | ナノ



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犬は主人が出ていってから部屋を見渡し、特に動こうとはしなかった。

暫し時間が経つと、床に座り込み

大きな耳をぴんと立てたまま、じっとしていた。

そう、躾けられているのだろうか。

あの護衛係は、犬が出てきた箱を扉近くの棚に置いていった。

窓際の勉強机に向かいながらも、気になって犬と箱、交互に視線を送った。

初対面から変なヤツだとは思っていた。

まだまだ分からないことだらけじゃないか。

柄にもなく気になる。



「あー、…もう」



気になって勉強どころじゃない。

まぁ、復習なんているほど難しくはない授業だし。

予習は夕方のうちに終わっている。

ただ、鬼道家の人間として。

恥ならぬように、義務として励んでいるだけだ。

拾ってくれた父さんに、ほんの感謝の程度だ。

一人考え込んでいると





―――――シュッ、…―





小さく音をたてて。

犬は箱に戻った。

なんなんだ、一体。










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