目が覚めてしまった
ベッドの布団の皺を直し、クローゼットに手を掛けた
中に入っていたのはこれから通う中学の制服
白いシャツに緑のリボン、グレーのプリーツスカート
丁寧にアイロン掛けされたそれは
きっと叔父さんの愛情
元々結婚をしずに一人でラーメン屋をやっていたそうで
ぱっと見た目、恐かったんだけど
でも、人に優しい人で
少し戸惑いのあった引越し先に、豪快に笑って頭をわしゃわしゃと掻き回された
さて、学校に行かなくては
通学バックに教科書はまだ届いてないからジャージや筆箱だけ
何故か、あたしの手は自分のスティックを掴み
鞄へと動いていた
『……何やってるの、あたし』
縁を切ったんだ、これから
父さんの上手かったドラムに魅されて、中学二年間、吹奏楽部のパーカッション担当だった
どうしても、これを見ると思い出すんだ、父さん
だから、もうやめる
両親が離婚を決意したのは冬だった
まぁ、数日しか経っていないのだろうけど
―――よく覚えていない
中学三年生になると同時に、転校ってわけさ
そんなこんなでさようなら
(少しは気に入っていた日常、さぁ、リセット人生)
(c)ひよこ屋
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