No title | ナノ
転校して、約一ヵ月

桜の花は散り始めている


『みょうじ、行くぞ』

『う、うん』


係決めのときに、委員会等、必ず男女のペアで組まなくてはいけない

あたしは空いていた図書委員にしようとしたとき

知らない人となるよりはいいからと、豪炎寺くんはあたしと同じ図書委員になった


昼休みや放課後は、仕事があるからよく一緒に居る


カウンターに座って、本の貸し出しの手続きをするだけ

暇だといえば暇なんだけど、そこそこ人は来るから、時間はあっという間に過ぎてしまう

女の子の中には、かっこいい豪炎寺目当てに借りに来たりしている子もいる

だから、あたしにはあまり仕事は回ってこない


『お願いしまーす』

『あ、はい……………ぇ、ケント?』

『ちわっす、みょうじサン』


珍しくあたしにお客が来たと思って、驚きながらも顔をあげると

そこに居たのは、高城ケント

あたしが所属候補に決めている軽音部の後輩だった


つい二日前くらいに、席替えをしたけど、同じ委員会だからとまた隣は豪炎寺くん

席を決めた班長さんに、自己紹介をされ、廃部寸前の軽音部を救ってくれないかと頼まれたのが始まりだった






(あっという間に過ぎていく)



 


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