やさしい青 1

「アーダンはやさしい青色をしてる」

突然のアイラの言葉に、アーダンは目を丸くした。この美人は一体何を言い出すのかと。
「アイラ、どうしたんだよいきなり」
「ん?そう思っただけ。アーダンはやさしい青色をしてる」
そういってアーダンの隣に寄り添うアイラの表情はどこか恥ずかしげで、でも穏やかだった。アーダンはその言葉を理解しようとした。
確かに自分の鎧やアンダーは青だ。だが青色といえばレックスやシグルド様、フィンだってそうだ。それに青は寒暖色でいう『寒』のほうで・・・などと考えを巡らせていると、アイラがぽそっと呟いた。
「アーダンは私を留まらせたし、傷を負わせた私を許してくれた」
そういえばそうだと出会いの頃を思い出した。人質にとられていたシャナンのために、敵として立ち向かったアイラをアーダンは攻撃せず、受け止めた。
その為に重傷を負ったアーダンは他の者をいさめて、許した。それはアーダンの人柄だけではなかった、むしろ・・・
「それは・・・」
「それだけじゃない。こうやって傍にいてくれて、私を包み込んでくれる。だからアーダンはやさしい青色をしてる」
だから寄りかかりたくなる、甘えたくなる。アイラはそう思った。アイラにとっては許してくれて、何かと気を使ってくれる、背中を預けて共に戦ってくれるアーダンに惹かれていった。そして今、恋人になって、夫婦になって、そして。
「この子たちが産まれたら、アーダンは良い父親になりそう」
「・・・ああ、親バカにもなりそうだ」
「ふふ、そうだな」
アーダンの無骨で大きな手が引き寄せるようにアイラの肩に添えられる。それはとても優しくて、あったかくて。アイラはアーダンの肩に自分の頭を置いた。
自分の少し大きくなったお腹にてを当てるとことり、ことりと動いている。アーダンとの子供はきっと夫に似ているのかもしれない。
「・・・俺は初めて会った時からアイラに惚れてたんだぜ。だから大怪我したなんてどうってことないさ。今じゃ俺の可愛い妻だしな」
「・・・バカ」
アイラが耳まで赤くなるのを見て、アーダンも顔を赤くした。自分でも恥ずかしいことを言ったと。

それでも、正直なところだ。
アーダンはアイラに惹かれた。アイラもアーダンに惹かれた。いわゆる相思相愛、なんて幸せな事だろう。

アーダンはいつでもアイラにとって『やさしい青』であり続けるだろう、この幸せが続く限り。

ふとアーダンが呟いた。
「俺が青なら、アイラは紫だな」
「え?」
「きれいな紫色、光輝いて、いっつも俺をその輝きで照らしてくれる。希望の色と光だな、うん」
「なっ、恥ずかしいことを言うな!照れるだろう」
「いでっ!?最初に言ったのはアイラだろ。それにだな、あー・・・」
「・・・?」
「良い奥さんをもらった。そして家族になる。そんだけで希望なんだぜ」
「・・・ありがとう」

ああ、この人は。
やっぱり私の『やさしい青』なんだ。






あとがき
初アーダン×アイラ!
アーダンってなんでも包み込んでくれそうだなーという妄想の産物。そんな男にアイラは惹かれたのかなーという妄想、ゲームではアイラがアーダンばかり狙うので(笑)そこから始まった恋であり、愛でもあるのかな、なんて

2015年10月28日 マリ

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