夏目友人帳夢小説 | ナノ


  雨と君の肩


ある日の放課後。

百合はクラスメイトである西村と共にお喋りをしていた。

職員室に呼び出された夏目を待っているのだ。

「でさ、その時夏目なんて言ったと思う?」

「えーなになに?」

「それは俺の…俺の豚カツだっ!って」

「あはは!!なんで豚カツなの!」

西村の夏目のモノマネが何気に似ていてツボに入ったらしい百合は、しばらく涙を拭いながら笑っていた。




「お待たせ」

「あ、俺の豚カツだっ!って寝言で叫んだ夏目君だー」

あはは、と笑って指差すと夏目が赤くなって慌て始めた。

「あ、あれは、昨日ニャンコ先生が俺の豚カツ取ろうとするから…!」

「さすがニャンコ先生だね。グルメだー」

「納得しないでくれ。先生のおかげで晩ご飯食べ損ねるとこだったんだぞ」

「まぁまぁ、いいじゃないか。そんなことよりはやく帰ろうぜ」

カバンを持った西村が教室のドアを開けた。




「うわー…雨降ってる…私傘持ってないや…」

「俺、持ってる。夏目は?」

「俺もある。半分入るか?」

西村と夏目が傘を広げ、夏目が傘を軽く傾けてきた。

「うん!ありがとう」

「……あ、俺用事あるの忘れてたわ。先帰るな」

じっと二人の方を見ていた西村がそう言った。

「悪いな、付き合わせて」

「いや、大丈夫だって。んじゃまた明日なー」

「西村君バイバーイ」

西村が小走りで去っていくのを見送った後、夏目達もゆっくりと家へと向かった。



雨と君の肩



(軽く触れた彼女の肩に女の魅力を感じた)
(こんな気持ちを彼女が知るはずもなく)
(ただ、西村にだけは気づかれていたのかもしれない)
(自分でさえも気づかないこの小さな気持ちを)

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