愛ほしがり。


ミツバが死んだ。

それを聞いたのは、あの土方との別れから1週間経った日のことだった。
ミツバが死んだからって俺たちが寄りを戻すことはないと思う。
俺は、今でも土方が好きだ。
でも、土方はもう違うみたいで....
この間、道端でばったりあっても目を合わせようとしない。
寝てないんだろう、寝不足な顔で..疲れきった顔で
黙って俺の隣を通り過ぎる土方に俺はショックを隠せなかった。
俺だったら、あんな顔させないのに。




「銀さーん、あんまりゴロゴロしてないで、
これ、配達お願いします。姉上から近藤さんにプレゼントだそうです。
速達らしいんで、早めにお願いします。」

「え、あのメスゴリラがゴリラにプレゼント??、あぶねーもんじゃねーよな?
バイクに乗ってる最中に爆発とかされたら俺たまらないんだけど。」

「大丈夫ですよ。多分、(真っ黒い)ケーキだと思いますので。
早めにお願いします。」

「はいはい。」


俺は、その可愛いラッピングされた箱を持っては家を出てバイクにまたがる。

えーっと、行き先は屯所でいいか。

もしかして、土方に会えるんじゃないか、という期待を胸にバイクを走らせた。








「あ、坂田さん。今日和。」

「おう、配達。ゴリラになんだけどいるか?」

「あ、局長ですね?いますよ、どうぞ。」

「さんきゅー、」

半顔パスで屯所の中へと入る。
近藤の部屋は割と奥の部屋。
廊下を歩いていると土方の部屋の前に来た。
ちょっと気になったが取り敢えず仕事が先、と通り過ぎようとした瞬間、
土方の部屋の扉があいた

そこから出てきたのは、土方。
それから、黒髪の美少女だった。



俺は思わず目を見開いた。

女はちょっとほってりした顔で、髪が少し濡れていた。
確実に、これは.......


「万事屋、!?」

「ねぇ、土方さん? この人だぁれ?」


長い綺麗に整えられた爪で俺を指差す女。
ミツバが死んだから性欲処理ですか、
俺は、ミツバだから行けって行ったのに。

「此奴は―――」

土方が此方をちらり、と見る。
しかし俺を見るとぎょっと目を見開いた。


「ぎ、銀時!?」

「え。」

名前を呼ばれては、とする。
頬に冷たいものが流れ落ちる。

「なんで、俺......」

ぽたり、ぽたりと、俺の目から溢れ出した雫は
止まることを知らずに落ち続ける。
止まらしたいのに止まらなくて。

「御免....、もう俺には関係ないのにな、
俺、近藤に渡すものがあって、来ただけなんだ。
だから、もう行くわ。」

しゃくりを上げながら早口でそう言うと俺は早足でその場を去る。
涙は出ていたけれど、ちゃんと笑えてたと思う。
曲がり角を曲がったところで蹲り、着物の裾で涙を拭き取る。

さっきの光景が頭に焼きついて中々離れない。
思い出すたびに涙は溢れ出てきた。

もう俺が泣く理由はないのに、
俺から終わらせたのに。
あんな光景を見て泣くなんて....。
土方もドン引きしたに決まってる。
もう片思いなんてだめだ。


まいなす思考にモヤモヤ、と考えているととなりからドンッと音がする。

びくっと肩を揺らし顔を上げると視界に黒髪が入ってきた。

「ひ、じかた?」

目をぱちくりさせて想い人を見つめる。

「銀時...」

腰に手を回されきゅう、と抱きしめられる。

「っ、な、なんだよ....」

なんで抱きしめるのだろう、?
もしや....え、同情された?

「銀時、なんで泣いたんだよ。
なんで泣いてるんだよ。」

「....なんでって、それは....」

「....俺、期待してもいいか?」


期待、?

何を、期待するのだろうか。


はてなマークを浮かべて土方を見つめる。

「あの日、お前は俺にミツバのところへ行けって言ったよな。
俺は確かにミツバのところへ行った。寄りを戻そう、と言った。
だけど、ミツバは小さく首を振ってお前を守ってやってくれ、と言われた。」

―――『銀さんを....銀さんを守ってあげて。
あの人は、強そうにみえて、本当は儚く、脆いものだから。
誰かの、貴方の支えがないとダメなの。私はもう、時間が限られているから。』

ミツバの優しいあの笑顔が蘇る。

「俺は、わかったと言った。だけど、もうミツバは長くはない。
だから、死ぬまで..とそばに居たんだ。
ミツバが死んだ次の日、お前に会いに行こうと。このことを話そうと
やり直そうと思い万事屋に行った。だけど、お前はもう違う男がいたから。」


「違う男?」

土方の言葉を黙って聞いていた俺だが、ちょっとおかしい点があり小首を傾げる。

「....なんか、グラサンかけた、男。肩抱いて居酒屋から出てきただろうが、」

嗚呼、成程そういうこと。

「あれは違う。飲み友の長谷川さんだよ、」

「.....そうなのか、?」

「うん、」

「...そうか。まぁ、それで...勘違いして俺は違う女を抱いてたわけだけど、
さっきお前が俺と女を見て泣いたから。もしかして、

俺のこと、まだ好きじゃないか?」

俺は目を見開く。
そんな、ストレートに.....

「....だったら何、
俺は今でもお前が好きだよ、大好きだよ....」

また涙が溢れ出る。
きっ、と相手睨み上げると視界いっぱいに土方の顔が広がって、
唇にふに、としたものが当たる。

嗚呼、俺キスされてるんだ、

そう気づいたのはキスをされて暫く経ってから。
肩をぐ、と抱き寄せられて先程よりもちょっと深く唇を重ねられる。

「んっ、ぅ....」

ぺろり、と唇舐められて離れた。

「俺も、お前が好きだ。」

熱っぽい顔でそう呟くと
土方の顔がまた更に近寄った。








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オチが思い浮かびませんでした(´;ω;`)
最後の最後までシリアスモード全開(笑)

こんなんでよろしいでしょうか?
不満な点があれば遠慮なく申し上げくださいorz

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