■ 寒い季節には。


ひゅーっと冷たい風が頬を撫でる。
その冷たい刺激に思わず顔をマフラーに埋める。

己の小さい体をぎゅっと抱きしめて寒さに耐える。

時計を見ると約束の時間から10分を過ぎていた。

「もぉ...高杉なにやってんだよあんの馬鹿。」

時間にはルーズな俺の恋人だが、今までは遅れてもせいぜい5分前後。
今日みたいに10分も遅刻なんてことはなかった。

「早くこねーと帰っちまうぞー」

今日は高杉と1ヶ月ぶりのデートである。
ちょっと早いイルミネーションが地元の公園で行われるため、一緒に行こうという話になったのだ。
俺も高杉は高校の2年の夏から付き合っていて、
喧嘩とか別れの危機とかいっぱいあったけど、なんだかんだやっぱり高杉じゃなきゃだめで、俺たちはもう24になっていてあれこれもう8年?も付き合っているんだ。
高杉はある有名の会社の社長さんだから忙しくて、休みがめったにない。
俺はウエディングプランナーをやってて休みはちょいちょいあるけど、高杉と休みがかぶることはない。
今回は上に頭を下げまくってやっとの思いでもらった休みだ。

高杉に会えるのを楽しみにしてたのに、もう10分も無駄にした。


キラキラと光るイルミネーションの周りには幸せそうに寄り添ってるカップルたちがたくさんいる。
それを見ているとなんだか虚しくなってきて、涙が一筋こぼれた。

ふと時計を見ると30分は過ぎていて、
もう来ないだろうと帰ろうとした。

そうしたら、いきなり腕を掴まれて暖かいぬくもりが俺の体を包んだ。

抱きしめ方とか、匂いとかでわかる。

「たかすぎ...?」

「...悪い。遅れた...」

ぜぇぜぇと息を切らしていて、走ってきたんだなって理解した。

「どうしたんだよ、遅刻なんて珍しいな..もう来ないかと思った。」

「だからって勝手にかえんじゃねえよ。」

そういって俺の頭を叩いてくる。

「はぁ?お前が来ないのが悪いんだろうが!
久しぶりのデートだっつーのに...30分もお前は無駄にしたんだぞ!?
怒ってかえるのは当たり前だろうが!」

自分勝手な高杉についイラついてしまい、怒鳴り声をあげる。
周りはなんだなんだ?とチラチラ見てくるものもいた。
ぐすぐすと涙を流す俺に高杉は小さなため息をこぼした。

「悪かったってゆってんだろ。買わなきゃいけねぇもんがあったんだよ。」

「買わなきゃいけないもん?それ、今大事なのか!?
俺より、買い物かよ!」

「ごちゃごちゃうるせぇな。」

小さく舌打ちすると俺の左手を掴んで持ち上げた。
薬指にシルバーリングをつけられて、俺はきょとんとする。

「...銀時、俺は本気でてめぇに惚れてる。
喧嘩もいっぱいしたし、不安にさせることもたくさんした。
俺じゃ不安なところがいくつかあると思う。
それでも、俺は銀時じゃなきゃ無理なんだよ。
.....俺と、結婚してください。」

ぎゅ、と手を握られて硬直する。
ぽかーんとしていると高杉が俺の頭を小さくたたいて
返事、とつぶやいた。

そこでやっと事の理解をして、
そしたら、嬉しくて嬉しくて涙が溢れ出てきて、
涙でぐちゃぐちゃにした顔で、
精一杯の笑顔で、

「はい。」

と答えた。







end 



あとがき

2000hit!ありがとうございました!
高銀で銀ちゃん女体化、の甘甘です...!!

本当にありがとうございました!


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