▼8 「あー……、そこ座って座って」 慌ても驚きもせず副会長様が私達を座るよう促す。 すごいな、前にいた稔なんて目見開いて振り返ったのに。 すみませんと謝りながら席に着いた。 「どしたん?」 「んー、仲間を見つけちゃった高揚感プライスレス」 へぇ、と全く分かって無さそうな基を置いて、私はもう舞い上がりそうなほど機嫌が良い。 予感的中! 眼鏡くんに渡したメモの内容はこうだ。 『そこの幼馴染コンビはにっこり笑ってる黒髪の方が鬼畜攻めで、茶髪が軟派受けだよ』 これを理解したと言う事は、彼は間違いなく腐男子!! 最近何かと話題だけど私初めて見たよ腐男子! え、そんな知られてない? おかしいなぁ、腐男子受け最近多いと思うんだけど。 ああそうか。私の情報源が偏り過ぎてるのか。 そのものズバリ、BLどんと来いな男の子の事だよ。 「堂島っていっつもこんな感じなのか?」 「まぁ大体は」 聞こえてるよ、委員長に稔! 二人して冷静ツッコミ系だから、結構心にぐさりとくる。 でもそれよりも早くこれ終わんないかな。早く眼鏡くんと色々語り合いたいんですが。色々と。 うずうずしていると、紙切れが飛んできて机の端に乗った。 何だろう。 二つ折りにされていたのを開いてみる。 『うちのクラスに不良×ビビリ平凡がいる』 「マジで!?」 思わず大声を出してしまった。 一斉にみんなの視線が私に集中する。 「えーと、何か質問?」 「いや……すみません。何でもないです」 鷲尾先輩、重ね重ね申し訳ございません。 斜め45度に体を曲げて頭を下げる。 ちらっと後ろを見ると、眼鏡くんが体を震わせて笑いを必死で堪えていた。 大ウケしてんじゃないよ! あんたのせいでしょうがぁ! 稔は口パクで「ばーか」ってやってくるし。 委員長は無言で睨んでくるし。 基と時芽は「何やってんのさぁ」とか絡んでくるし。 依澄はにこにこ。 やはり隣に置いておいたのは正しかった。依澄だけが私の心の拠り所だよホント。 前 | 次 戻 |