▼4 なんやかんやで委員長って結構フレンドリーに色々話してくれるんだよね。 もっとお堅いじゃないけど、冗談にそこまで付き合ってはくれない人なんじゃないかなぁと思ってた。 良かったよコミュニケーション能力のある人で。 あ、でも寡黙な人って設定も良いよね! 低い声で静かに必要最小限のことしか言わなくって。 無口無表情で他人を寄せ付けない雰囲気を醸し出している彼が、心を許した意中の相手にだけ徐々に柔らかい笑顔を見せるように変化していく――なんて設定どうでしょう!? 「これ今度のHRで堂島がやれよ」 「んー?」 やばいやばい、筧くんとの会話そっちのけで妄想しちゃったや。 渡された紙には、体育祭の種目とそれに出る人数が書かれていた。 ああ、クラスの誰が何に出るか決めるのね。 メンドイ!! 「あ、オレ100m走がいいな、これ先名前書いといていい?」 「へぇ何か以外。面倒臭いとか言ってそういうの嫌がりそうなのに」 「オレだってやる気くらいありますよ、無気力な若者じゃあるまいし!」 「十分若いだろ」 はい、今年で16です。もう結婚できます。 いやそうじゃなく。私ってそんな面倒臭がりだと思われてたんだ。 あ、1分前にもそういや言ったな、頭の中でだけど。 そうかそうか。そんな負のイメージが定着してたのか、何とか挽回せねば。 「舐めてもらったらいかんぜよ、オレは体育祭でてっぺん目指す男じゃけぇ」 「おれには堂島が聞きかじった方言力を総動員させてまで、何が言いたかったのか理解できないよ」 「平気、オレにも解らないから」 だから誰にも解らない。 いやね、違うんですよ。 確かに行事に熱心な方ではないけれど、やるからには勝った方が気持ち良いし、全力は出します。 ちょー気持ち良いーってなりたいもの。 そう言いたかっただけなんだ。 だ、だから委員長チクチクした視線寄越すの止めにしてもらえないかな! イタ、イタイ! 心に刺さる! 前 | 次 戻 |