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 あったかい。
 やっぱ冬はコタツにみかんが最強。これを否定する日本人は私が直々に鉄拳制裁してもいい。
 
 最初にこのセットの良さに気付いた人に表彰状送りたいくらいだね。
 
 依澄達と別れてから私と稔はスーパーに行って、夕食のお買い物をした。
 クリスマスだからね、ちょっと豪勢にしたよ。
 ケーキも買って万全だったのに。
 
 せっかくパーティー仕様にしたっていうのに、両親は当然仕事でおらず、姉も彼氏とお出かけ。
 稔と2人だけで夕食を終え。

 片づけも済んで、居間でテレビ観ながらまったりしてます。
 
「あ、そうそう」

 危ない忘れるところだった。
 こたつ出るのちょっと気合いるけど、目的は自分の部屋だから出ないと始まらない。
 
 決心つけて居間を出るとやっぱりひんやりしてた。
 階段を駆け上がり、自室の学習机の上に無造作に置かれていたものを取って足早に戻る。
 
「稔、メリー苦しみます?」
「聞くな」

 ジロリと睨んできた稔だけど、私の手に持ってるのに気付くと目を見開いた。
 
「遅くなったけど稔にクリスマスプレゼーン!」

 私を侮ってもらっちゃ困りますな。稔の分を用意してないとでも思ってたかね。
 ちゃんと前々から用意してたからこそ、昨日気にせず思い切りクッキー試食してもらってたんだ。
 
「あーちょっと待て! それ受け取る前に、これ」

 懐からさっと小さな箱を取り出した稔。
 あなた手品師ですか。
 
 先に渡したかったらしいので、私のは取り敢えずテーブルに置いて稔から箱を貰う。
 
 黒い包装紙に赤と緑のラインが入ったリボン。
 更にリボンの結び目には小さなベルが縫い付けられている。
 クリスマス仕様の可愛らしいやつだ。
 
 クリスマスプレゼントだ……。
 
「あ、開けていい?」
「どーぞ」

 うわードキドキする! 男の子にこんな事してもらったの初めてなんですけど!
 ちらっと稔を見ると目を逸らされた。い、一体何が入っているのやら……。
 ウタのもそりゃあ胸が高鳴ったけど、これはまた違った緊張感がある。
 
 破ったりしないよう丁寧に包装を解いて中の箱を開ける。
 
 あっ!
 
「あっははははっ! か、かぶったー!!」

 中身見た途端込み上げてきた笑いをどうしても引込められなかった。
 
 箱の中に納まっていたのは、シルバーで作られた花が幾つも連なったストラップだった。
 それぞれ花の真ん中にカラフルな石がついてて綺麗だ。
 
 上品でめちゃくちゃ可愛い。
 
 で、何がかぶったって、ねぇ?
 
「悪かったな……、まさか高鳥がアクセ渡すとか予想出来るかっ」

 シルバー繋がり。
 左腕につけたままのブレスレットを一撫でする。
 
 私もまさかの展開だったしね。
 もしかしてあの時、内心焦ったりしてたんだろうか。
 
 そんな想像したら余計笑えてきた。
 笑い続ける私の足をコタツの中で軽く蹴ってくる。
 
「いたいいたい。ふふ、私のも開けてみてよ」

 横に置いてたのをずずいと差し出した。
 
 稔も綺麗に包装を剥がしてくれるのがちょっと嬉しい。
 別にそれがなんだって話だけど。
 
「……ストラップ」
「うん。かぶったって言ったのはウタじゃなくてこっちね」

 稔が取り出したストラップをつついた。
 黒色のメッシュの入った革で、円形にするためについてるボタンが硬貨の模様になってる、至ってシンプルなやつ。
 
「何にしようか散々迷った挙句、かぶっちゃったんだもん、思わず笑っちゃった」

 男の子にもらったのが初めてなら、ちゃんとしたのをあげるのも初めて。初心者ですもの、何プレゼントしたらいいかなんて分かるわけない。
 
 しかも買った店も同じっぽいんだよね。
 なんというシンクロ率。
 
 稔も気付いて笑い出した。
 ほとんどずっと一緒にいたのに何時の間に買ったんだか。
 
 多分お互いそう思ってる。不思議なもんだね、ちょっとした隙を見つけて買いに行って、でも二人共全然気づかないとか。
 
「つけていいか?」
「どぞどぞ、私もつけるー」

 実は早く着けたくてうずうずしてた。
 いけない顔がにやけてしまう。
 
「ありがとう稔、嬉しい」
「こちらこそ」

 テーブルの上に並べて置いた携帯に、お揃いじゃないけどお互いに買ったストラップがついてる。
 すごくくすぐったい。
 
 おお、なんだか今ものすごくクリスマスって感じがしますな!
 
 かかってるテレビはお笑い番組、家で普段着、こたつにみかん。
 ムードってなんですか? という、これ以上ないアットホームな雰囲気だけど、これはこれでありですな!
 
 


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