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 カラン
 
 店の外に出ると3人が入口の傍で待ってくれていた。
 おお、こうやってちょっと距離置いてみると、3人ともまっこと男前じゃのう。
 
 私が少し遅れたのは忘れ物した事に気付いたからです。
 おっきーこと悪魔くんはまだオネンネしとりました。
 
 いやはや、とんでもないクリスマスだわ。
 
「お待たせ。……ウタありがとうね、今日来てくれて助かったよ」
「アイツの事嫌い?」

 少し迷っているような表情。
 ウタはおっきーの事嫌いじゃないんだね。
 
「嫌いっていうのとはちょっと違うかなぁ。ムカつくけど。ねぇウタは東さん嫌い?」
「……別に」

 東さんの言動を思い出したのかムッとするウタに「そんな感じ」と答えた。
 色々あって複雑な気持ちはあるけど、嫌いってわけじゃない。
 好きでもないけど!
 
 稔といいウタといい、私の友達を取り込んでるようで腹立つしな!
 
「依澄だけだよぅ、おっきーの毒牙にかからずにいてくれるのはぁ」

 泣き真似する私の頭をよしよししてくれる依澄マジ天使。

 依澄は私と真逆で打っても響かずに全部吸収しちゃう。
 投げても打ち返さずに取り込んじゃう、そんな子だから弄り甲斐が無かったんだろうな。
 
「そんな2人に感謝の気持ちを込めまして。はい、どうぞ」

 可愛らしくラッピングを施してある小さな袋をウタと依澄に渡す。
 
「香苗サンタからのクリスマスプレゼントです」

 こういうのって渡すタイミング難しいね。
 会って早々渡すのもなぁと思ってモタモタしてたら、すっかり今まで忘れてた。
 
 中身はどってことない手作りクッキーですよ。
 ツリーとか人形とかクリスマスっぽい形にしてみたけど。
 
 ちなみに稔の分はありません。
 昨日作ってる時に試作でいっぱい食べてもらったからもういいだろう。
 
「わぁありがとうカナ、お母さんと一緒に食べるね」
「たんとお食べなさい」

 おばさんも喜んでくれるといいなぁ。
 お花がいっぱい飛んでる依澄ににこにこ笑い返す。
 
 歩くアロマポットと呼ぼうかな。
 
「か、香苗……!」

 ふわふわしてると、妙に緊張した面持ちのウタに腕を掴まれた。ん? どうした。
 
「あ、ありがとう!」
「うん、どういたしまして」
「だ、大事に、たべ、食べるから」
「いや普通で良いよ、普通で」

 てかウタ、ドモり過ぎ。
 可愛い。本当可愛い。たかだかクッキーでこんな感謝されるとは、逆に申し訳なくなってくるわ。
 もっとちゃんとしたプレゼントにすればよかったか。
 



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