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 身も心もさっぱりした私が先生の控室に戻ってきた時に見てはいけないものを見て、知ってしまった。
 お酒に呑まれた憐れな大人達の末路というものを。
 あんま知りたくなかったなぁ、将来お酒が飲める年齢になっても私は絶対こうはならないようにしよう、うん。
 
 どうなっていたか詳しく説明すると
 
 女性陣は男性陣が視界に入っていないのか存在を頭の中で消去しているのか、女子会のごとくハイテンションで結構際どい内容のマシンガントークを繰り広げているし。
 
 男の先生のテーブルに突っ伏して夢の世界に入っており
 一人はその隣でブツブツ何か呟きながら柿ピーを、柿とピーに綺麗に分けていて
 二人は楽しげに下ネタっぽい会話を続けているし
 最後の一人、学年主任のオッサンはちょっと呂律の回らない喋り方でずーっと説教たれている。
 
 そして説教を延々と聞かされている稔。
 ごめん。マジでごめん稔。まさかここまで酷い事になってると思ってなくて……。
 
 私が入って来たのに気付いた私に稔はゆっくりと振り返って「おせぇよ」とひっくい声で毒づいた。
 
「あんま遅いからお前の事嫌いになりそうだったわ」
「いやぁ!! 世界中のみんながオレの事嫌いでも、稔だけは嫌いにならないでぇー!! オレら友達じゃぁん」
「おもっ!! そんな重い友情いらん!」

 がーん! 稔に重いって言われた! 友達想いで有名なこの稔に!
 ショックでマジ泣きしそうです。稔に捨てられたら立ち直れないよ。
 
「あなた達仲いいわねぇ」
「ほんと!? そう見える!? 稔いじめっ子にしか見えなくないですか!?」

 ほんとほんと、と女の先生方に笑われた。
 そうか、それならいいんだ。
 
「堂島くんが入学する時ってなった時はほんとにどうなる事かと思ったけど、上手くやってるようで先生達安心したわぁ」

 うん、そうだろうけどね。だけどそれ稔の前で言っちゃ駄目だから先生。結構際どい発言だから。
 稔が私の事女だって知ってたから事なきを得たけれど、知らなかったら危なかったと思う。
 というか、やっぱり先生達ってば心配してくれてたんだ。
 
「そうなんだよ!」

 急に間に入ってきたのは私達の担任。
 
「俺のクラスに入って来るって決まった時にどんだけ困った事か……! もう、マジで!」
「先生酷い!!」

 私の事そんな風な扱いだったの!? 今までいい担任だと思ってたのにがっかりだよ!!
 酒に酔った勢いで、言っていい事と悪い事の区別も無くしちゃったこの人!
 くっそう、今度から先生への態度を改めよう。
 
「ふむ、いい機会だ堂島くん、私の話をよおく聞きなさい」
「嫌ですごめんなさい!」

 学年主任のおっちゃんが真面目な顔でこっちに座れと指示してきたけど、誰が座るものか!
 そこ行ったら長々と説教コースじゃないか、さっきまでの稔と同じ被害は避けたい。
 


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