「本気でアタシにその立ち位置譲る気ない?」

 ウタと無事仲直り? してC棟から出てきた所に、なんとまぁ板宿先輩&高盛くんのペアとがっちり鉢合わせしてしまい。
 
 目が合った次の瞬間に板宿先輩に真顔でそう切り出された。
 ウタの容姿もとても気に入られた様子です。
 
 あ、ウタが私の後ろに下がった!
 怖いのね!? 身の危険を感じたのね!?
 そうだよー、先輩は見たまんま肉食だよー。
 
「ああ! テメェあれだろ! さっきまで暴れまわってた奴だろ! やっぱり堂島の連れかよ」

 高盛くんナイス!
 華麗に話題を流してくれた。うんうん、時に空気読まない子の方が会話を先に進めてくれたりするもんだよね。
 
 てかやっぱりってどういう意味かしらね。たしかに連れだけれども。
 まるで私がトラブルメーカーみたいな言い方やめていただきたいものだわ。
 
 違うからね、私がどうこうじゃなくて、私の周囲の人間がキャラ濃すぎるだけなんだからね!(高盛くん含)
 
「暴れ回ってた子で間違いないですが、彼はもう説教部屋にて改心したのでもう大丈夫ですよー」
「問題起こした事には変わりない! 風紀委員のおれが黙って見過ごすわけにはいかねぇんだよ」
「パードゥン?」
「問題起こし」
「その後!」

 しかし高盛くん本当良い子だな、怒りっぽいくせにもう一回普通に言い直してくれたよ。
 
 はぁ!? って怒られるの覚悟でボケたのに。
 いやボケスルーされるってのもある意味辛いものがあるけど。
 
 じゃなくて! 今彼はとっても重要な発言をしませんでしたか!?
 
「高盛くん風紀委員だったの!?」
「1学期からずっとだ!」
「マジすか!!」

 あれ、あれれ。
 確か高盛くんとのファーストコンタクトで、時芽が「風紀委員にチクるぞ」って脅さなかったっけ。
 まさかご本人様が風紀委員だったなんて、ばんなそかな! あ、今日2回目だこのネタ
 
「香苗、やっちゃっていい?」

 先輩は怖いけど、高盛くんは小蝿程度にしか映っていないらしいウタが耳元で囁いた。
 
「直接潰すんじゃなくてキンチョールでならね」
「? 持ってないよ」

 だぁ相変わらずボケが通じないこの子!
 
 恐ろしい、前方の高盛くんに後方のウタのどっちもにスルーされちゃうこの状況、けっこう苦痛だ。
 
「まぁまぁ高盛、こういったお祭り事に騒ぎはつきものよ。運よく教師達には気づかれてないんだし、見逃してあげなさいな」

 あざっす先輩ナイスフォロー!
 これからはカマ先輩じゃなく、フォロ先輩って呼ばせてもらうッス!
 
「ていうかC棟から出てきたって事は、やっぱり西峨とも繋がってたのね堂島ちゃん」
「いやいやいや! 知り合いっちゃ知り合いですが、C棟に入ったのは本当に今日が初めてなんですって!」
「ふぅん?」

 顎に片手をついて、疑わしそうに見てくる先輩が怖い。
 居心地が悪くてそわそわしていると
 
「羨ましいったらありゃしないわ」

 先輩がポロリした。
 
 超ド本音すぐるー!!
 
 一日で色々あって、心臓に悪い事も大量にあったけど全部吹っ飛んだわ。
 本日一番の戦慄が走った瞬間でした。
 
 


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