当たり前のように
自分の身は自分で守れると豪語した。
しかし、実際この目で忍同士の戦いを目にすると、考えが甘かったことに気付く。
相手は子供にすら牙を向くような野蛮人たちなのだ。
まともに戦えない人間がお荷物になることなど分かりきっていた筈なのに。
死線を潜り抜けなくなると、こうも判断が鈍るのか。
その感覚に、呆れと情けなさが背を伝った。
カカシさんはそれを分かっていたのか、私を守れるぎりぎりの距離を保って戦っている。
これでは本来の力を発揮することなど出来ないのは目に見えていた。
むしろ気絶してしまっていた方が余程戦っている彼らのためになる。
此の期に及んで『どうしたらいい』そう考え出す思考が更に呆れを生んだ。
どうしても戦いには参戦出来そうに無い体。
久しぶりにチャクラを急速に練り上げたため乱れる呼吸。
三代目が大蛇丸に囚われ、木ノ葉が攻め入られている今。
私にはいったい。
いったい何が。
「……!」
バチチチチ
瞬間、そんな思考を嘲笑うかのように目の前をカカシさんの雷切が過ぎる。
見慣れていた筈のそれは、記憶にあるものとあまりに違っていた。
感じる気迫すら以前の比ではない。
一瞬にして敵を貫く破壊力。
そこに無駄の無い動きが加わればまるで舞っているようにすら感じられた。
彼はこんなにも自身を研き、力を付けていたのか。
「……」
その現実を目の当たりにした時。
私は、
当たり前のようにこう思った。
そんなこと、
今の私には、何も出来ないのだ。