巧断の国 01-01
状況は絶望的だった。
何せ偶然、偶々、ちょっとした不幸と不幸が偶発的な逢瀬をしたその場所に、
これまた偶然、偶々、図らずして、ゆくりなくも巡り合わせてしまったのだ。
さらに最悪な出来事として列挙すべきは、その偶さかな逢瀬を切欠に変わってしまったということ。
何が。
世界が。環境が。法律が。人種が。
ありとあらゆるモノが。
今までの常識が通じない、そんな世界に、私は放り出されてしまった。
不幸中の幸いと言えば、目の前に彼女がいたこと。
否、これこそが不幸の始まりなのかもしれないが。
とかく彼女は私にとって、一縷の望みとも呼ぶべき救いの星であったに違いない。
願いは帰るべき場所に帰ること。