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 ロスマリナス 11

それからまた暫く経って、その間あの女のことを思い出すこともほとんどなかった

ただ地下街だとか、王都だとかの単語を聞いて不意にあの庭のことが頭を掠めた


あれからあいつはどうなったのか


あのダークグリーンの髪も日によって緑にもヘイゼルにも見える瞳も
もし地下街で死んだのならあれだけの容姿は少しもったいないな、くらいには思った


だからその数日後予期せぬ暇が出来た際
その足でしばらくぶりのウォール・シーナに出向くくらい、特に意味はなかったはずだ


馬に乗りゆっくりとあの道を進む

あの庭には、今日はその姿はなかった

まさかあの後本当に地下に行ったのか、と一瞬思ったが
庭の草花も束になって紐で上から逆さに吊られるハーブも
間違いなく誰かが手入れをしている様子だった


なんだ、生きてるのかと確認だけして都の下町へと向かおうとしたところ、
不意にその家の扉が開いた

布が入った籠を抱えるその姿は
以前見たときと何ら変わりないものだった

その瞳に自分の姿が映り、
扉を開けた体勢のままその女は一瞬動きを止めた


立ち去ろうとしていた手前、馬の足が何歩かその場で足踏みする


…お久しぶりです、
と少し距離があるままその唇が動く

真っ直ぐこちらを見つめる瞳は今日は緑がかっていた


その少し重そうな籠を細い両手で抱えあげてから扉横の台に置くと、
長いスカートを握りながらこちらへ歩み寄ってきた


…新しいハーブを持っていかれますか?


近くに来るとなぜかまたその睫毛は伏せられる
小さくそう聞く声からはいつものようなツンとした雰囲気が今日はあまり感じられなかった

違和感を感じながら、リヴァイはそれを断る

前回二度もらったものがまだ残っていた

ハンジからドライハーブはかなり持つと聞いていた
毎回使う量は少なくても十分足りていた



  


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