その鋭い瞳に絡め捕られて心臓がどくんと高鳴る。

この人が今見ているのは他の誰でもなく、私なんだ。
人類最強の男に、…体だけでも欲される私は、なんて恵まれているのだろう。

こんな肉体美を見せられては貧相な自分の体を捧げるのも申し訳ないが、
彼がそう望むのならば本望だと思える。

兵長の体が近づいて一瞬身構えてしまうけれど、大きな手に抱き寄せられて安心感がそれに勝る。

文字通り、心も身体もこの男に捧げてしまった。
この人の為ならば、私は何でも差し出すだろう…。

顔が近づき、唇が重なる。

「ふ、…んん」

…キスの頻度が増えたと思う。
誰にも聞こえないようにと私の声を抑えているのかと思ったが、どうもそうではないらしい。


兵長はキスをどう思っているのだろうか。
勘違いしてしまいそう。

なぜ、私にキスしてくれるの？

くちゅ、と舌同士が絡み合って卑猥な音を奏でた。

それが啄むようなキスに代わり、右足をぐっと持ち上げられた。
一瞬の間を置いて彼自身が私の入り口に宛がわれる。

短く息を吐く兵長に背中がぞくりと反応する。
あ、と思う間もなく彼が私の中に侵入してきた。

「んっ、んぅ…」

ぴり、という甘く鈍い痛みが走るが、前回とは違って彼の行動が逐一感じられたので幾らか不安は消えていた。

「…ッ」

口づけられながら、少しずつ奥まで進んで来る彼を感じた。

まだ痛みは消えない。
…ただ、前回の時には無かったくすぐったさがあった。

それは未だ快感にも届かないが、私の想いが次々と溢れ出す。
彼の左手が足を支え、もう片方の手が彼と私がつながっている場所へと伸ばされる。

「あ、っ…」

まだ敏感なままの場所を刺激され、体が一気に熱を思い出した。
鈍く、甘い痛みに全身が凌駕されて頭が上手く働かない。

私の体の中で猛る彼。
この行為が一体何を意味するのか、私には未だ分からないけれどーーー。

今、この瞬間だけは兵長は私を求めてくれていることだけは間違いない。

お互いに求め合って成り立つ行為。

きっと。
私が彼を欲しいと感じる意味とはまた別物だろうけれども、この瞬間だけは…。

私を、欲しいと、そう思ってくれたということ。



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