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 アリビンゲーブ 45

再び静寂となった室内には、雨音だけが静かに聞こえていた。

そこへ、コツコツ、とノック音が響く。
入れ、とエルヴィンが声を掛けると
がちゃりと扉が開いて、モブリットが顔を覗かせた。

エルヴィンは顔を上げ、リヴァイは目線だけで彼を見た。
モブリットは通常ハンジに付いているはずだが、一人きりとは珍しい。

「団長、兵長も。こちらにいらっしゃいましたか」

「ああ、どうした」

「報告しようか迷ったんですけど、」

と一拍入れてから言いにくそうに口を開く。
またハンジが何かやらかしたのだろうか。

いつものことだ。

リヴァイは書面の続きへと目を戻した。

「憲兵団とのことがあってから、兵士にはジャケットの着用を促してましたよね?
それが、先ほどハンジ分隊長が本部裏手でジャケットを着ていない兵士を二人見かけたそうなんです。
なんでもないことかも知れないんですが…」

「そうか。その二人…確かに憲兵団かも知れないな…」

憲兵団、と聞いてリヴァイが一瞬反応したように見えた。

だがジャケットを着ていないだけならば、うちの兵士ということもあり得る。

ここで向こうの兵士を捕まえることが出来れば裏で糸を引く人物までたどり着くかもしれないが…。
相手もそんな手抜かりもしないだろうし、やはり空振りか?

ちらりとリヴァイに目をやるが、彼は既に興味を失っているようだ。
確かに信憑性に欠ける報告で動いても切りがない。

リヴァイはこの件は白と判断したのだろう。
…それにしても、やけに早く解決したさそうだったな。


「…よし、誰か裏手に回そう。
ご苦労だったな、モブリット」

「いえ。じゃあ失礼します」


カツ、とモブリットはブーツを鳴らして退室しようとしたが、最後に「あ、」と呟いて振り返った。

「団長、それともう一つ。
その内の一人に連れられるうちの兵士もいたそうなんです。
小柄な女の子で…ブルネットの髪を一つの三つ編みにしていた子らしいんですが」

そこまで聞いて、リヴァイは目を見開き、がたんと席を立った。

「…?
兵長…うわっ!」

扉の前に立っていたモブリットにぶつかるような勢いで出て行ったかと思うと、そのまま廊下を走り去る音が聞こえた。



  


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