×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -


 アリビンゲーブ 36

食後のジョギングに出たその日の夜、調査兵団本部の周りに人垣が出来ていた。

重々しい空気の中で、静かに会話をしていたようだがその兵士達の背中の紋章は調査兵団と憲兵団が入り乱れている。

こちらは壁外調査を控えているというのに、今の時期にやり合う話なのか。

遠目から見た限りでも楽しい会話をしているようには到底見えなかったので、一抹の不安を覚えたが巻き込まれるのも憚られるので進路を変えた。

壁外調査まで、残すところあと三日まで迫っていた。
残りの三日間はいつもと大差ないまま過ぎて行った。
陣形を念入りに確認した後、最終訓練にて各自解散となった。

全調査兵団兵士の中に一兵士として立ち尽くす自分を、どこか客観的に見る自分がいた。

この内の何人が生きて戻れるのだろう。

一人一人が笑って、泣いて、こんなにも生きているのに。
明日の今頃には命を落としている兵士が何人いるだろう。

世界はこんなにも残酷だ。
だからこそ、その中に美しさを見出す事も出来る。

だからこそ、もっと生きたいと思う。



  


Main>>home