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 アリビンゲーブ 20

その後部屋に戻ったが、かなりの倦怠感に襲われてそのまま眠ってしまった。
朝早く目が覚めてシャワーを浴びたが、気怠さはまだ抜けない。
脳裡に昨夜の出来事が鮮明に思い出され、その度にぼんやりと考え込んでしまう。

彼の手の力強さ、
唇の熱さ、
背中から感じた体温。

その後の恥ずかしすぎる体験はあまり思い出したくないので脳内で自分の都合よく編集されるが、それでも時折見えた彼の表情が頭から離れない。

なぜ、彼は私を抱かなかったのだろう。
そればかりが胸に浮かんでしまう。

その後、彼からの呼び出しは定期的になった。
一週間に一度の頻度は変わらない。
彼の週の詳しい予定は分からないが、曜日がいつも同じなので呼び出しが無くても彼の元へ向かうようになった。

まるで通い妻、ならぬ愛人のようだ。

その中で、何となく分かってきたことがある。
彼はあまりキスをしない。

何度かしてくることはもちろんあるが、恋人同士のような甘いものではない。
それは決まって彼が私を限界まで攻める時なので、私に声を出させない為にしてくるのではないかと思っている。
そう思ってからは声を我慢するようにした。

そうしてからは心なしかキスもされなくなった気がする。

彼が迷惑に思っている事は汲み取ってあげたい。
私の声が周りに響くことを心配しているのなら、それをしなければいいだけだ。


そして、彼は部屋の明かりをつけない。

彼の部屋に一度も明かりがついていたことがない。
やはり誰かに見られることを警戒しているのだろうか。
それにしては呼び出しを一兵士に頼んだりと、解せない点も多い。

更に最大の疑問点は…。

彼がまだ私を抱いていないということだ。

あれから五回ほど彼の自室で会っているが、いつも私をどうにかするだけで彼自身をどうにかしろと言われた事がないのだ。

…彼は男としての欲望が無いのか?
それとも、いわゆる…不能の状態なのか。
はたまた、私にそれだけの魅力がないのか。
毎度毎度疑問に思ってはいるのだが、中々私からは切り出せずにいる。


兵長。

あなたは、何を考えているんですか…?



  


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