△ アリビンゲーブ 12
そして今、大きな問題が私に立ちはだかる。
目前に続く廊下。
右を見ても左を見ても、全く同じ扉が均等に並んでいる。
建物内も左右対称に作られているので、非常に紛らわしい。
部屋の番号が書いてあるだけまだましだが、さて、私は彼の部屋番号を見ただろうか。
…記憶を辿るが、何もそれらしい数字は浮かんでこない。
仕方がない。
近い部屋をノックしてみて、違う人が出てきたとしたらその人に彼の部屋を聞いてみよう。
そう決め込み拳を握る。
コン、コン、と遠慮がちな音が二度廊下に響き渡る。
だが、何も返事が無い。
当たりだろうか?
彼が寝ているとか?
それともはずれ?
他の上官の部屋だろうか。
それにしたって返事が無いのなら、寝ているか留守なのだろう。
深く考えずにドアノブに手を掛け、ゆっくりと手前に引く。
鍵はかかっていない。
扉を少しだけ開き、内部を覗き込む。
中はやはり暗い。
−−−いや、家具一つ、無い…?
「はずれだ」